溶岩流
の平面的な広がりのシミュレーション手法に関する研究は,国内外ともにほとんどなかったが,石原らの研究以来,2次元漸変流の不定流の運動方程式にビンガム流体の抵抗則を適用し,これと流体の連続式を連立させた数値シミュレーションモデルが構築され,手法としてはほぼ確立されてきている。ただし,ビンガム流体として数値シミュレーションを行うためには,流れの抵抗則に流体の降伏応力と粘性を取り入れなければならない。したがって,温度の低下に伴う
溶岩流
の粘性,降伏応力,化学組成などの変化の予測精度によってシミュレーションの予測精度は大きく左右される。本研究では,まずシミュレーションに用いる
溶岩流
の温度―粘性,温度―降伏応力の関係を検討するために,溶岩の物性に関する国内外の資料を収集し,温度―粘性,温度―降伏応力の関係を把握した。この結果,温度―粘性,温度―降伏応力の関係について,それぞれリキダス温度を堺にアンドレード型の式を2式導入した。この関係式を用いて伊豆大島LBI (1986)
溶岩流
を対象にシミュレーションを行い,モデルの検証を行った。次に
溶岩流
の対策工に関する海外の事例を検討し,シミュレーションによって効果評価のしやすい導流堤を伊豆大島LBI (1986) を対象に対策工として仮定し,導流堤の高さ,
溶岩流
に対する角度を変化させて効果評価を行った。
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