目的
重症心身障害施設では、入所の人達に楽しんでもらえるような企画をいろいろ工夫している。その場合、大事なことは、一律ではなく、その人にあった対応を考えていくことである。重症心身障害児(者)の花火への反応についての報告は、今まで報告されていない。今回、私たちは、一宮医療療育センター入所者のうち、どのような人が花火を楽しめるのか検討した。
方法
毎年8月14日に
濃尾大花火
大会が開催される。当センターから2km北の木曽川の洲から打ち上げられる。当センターは、北側にベランダがあり、この花火がよく見えるので、当日は、入所者や家族、ボランティアにベランダにでてもらった。入所者は車椅子で見てもらう人が多かったが、中にはベッドのまま出てもらう人もいた。入所者の反応を、「楽しんだ」「なんらかの反応あった」「まったく反応なかった」の3つのうちどれだったかを、家族、職員、ボランティアが評価した。この反応に、年齢、性別、大島分類、横地分類などが影響しているか統計解析用ソフトSTATAを用いて多変量解析した。
成績
「楽しんだ」が25人、「反応あった」が24人、「反応なかった」が16人だった。知的レベルが高い人は、「楽しんだ」が有意に多かった。身体運動レベル、年齢、性別は、花火への反応に影響を及ぼさなかった。
結論
楽しんだかどうかについて本人の表情や、「きれい?」「たのしい?」「おもしろかった?」の質問に答えるかどうかで判定している。結果は、言語理解があるかどうかが大きいと思われ、ある程度予想されたことであるが、実際に評価したところに意味があると考えている。思わぬ反応をみせる入所者もあり、家族は全員楽しんだので、当センターから
濃尾大花火
をみる企画は毎年続けていく予定である。当センターは、開設3年目で、今年、新たに入所してくる人の反応を含めて報告したい。
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