奥行弁別作業における
焦点
調節機能に関わる要因の比較実験を通して, 微細領域における奥行弁別に優位な観察方法や, 視機能訓練の方法について考察を加えた. 今回の実験結果から, (1) 視標が眼の
焦点
深度内に入った後の注視点の決め方が, 調節による奥行弁別精度を高める大きな要因であることが確認された. (2) 弁別閾値近傍のわずかな奥行量を識別する場合, 短時間注視 (7秒以下) の有効性が明らかになった. また, 長時間継続注視 (10秒以上) では, 弁別感度 (精度) の低下をきたすことが明らかになった. (3) 奥行弁別作業時の両眼視, 利き眼または非利き眼による単眼視における調節能力の比較では, 両眼視の弁別能力が高いことが明らかとなった. 単眼視においては利き眼, 非利き眼にかかわらず, 左眼より右眼の弁別能力が優れていた. (4) 実験により, 双眼鏡や実体顕微鏡などの使用時に左右像の融像困難な者に対して, 短時間で有効な融像訓練方法を提案することができた.
抄録全体を表示