琵琶
湖岸には, 数種の海浜植物が分布している。これらの海浜植物が
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湖に侵入したのは, 地質学的な証拠から更新世初期であるとされてきた(Takaya 1963)。
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湖岸に見られる海浜植物の一つであるハマヒルガオ[Calystegia soldanella(L.)Rocm.et Schult.]について, 種子を海岸および
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湖岸の集団から採取し, その長さと一粒重を計測した。種子の大きさを表す両方の形質で海岸と
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湖岸の集団は有意に異っており,
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湖岸の種子は小型であった。また, 日本海側および太平洋側の海岸と
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湖岸から採取した個体を京都で栽培し, 花および種子について調査したが, ともに
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湖岸のものがより小さかった。これらの調査結果によって示された
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湖岸でのハマヒルガオの分化の要因について自然選択, 長期間の隔離およびそれらの相互作用の観点から考察した。
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