本稿では,鉄道利用者が移動途中に利用する施設を鉄道駅に配置する問題を扱う.Hodgsonのフロー捕捉型配置問題を土台にし,経路上に施設が存在するフロー量を最大化するアプローチをとる.鉄道利用者フローの各駅へのアクセスのし易さを列車種別により区別し,各フローの乗車電車の停車駅でのみ捕捉が可能な構造を導入したモデルを提案する.施設の配置コストを駅ごとに与え,総資金制約下で配置施設数と立地場所を決定する資金制約型モデルを構成する.この問題は,鉄道事業者が,多くのフローが立ち寄り易いように運営鉄道網上に商業店舗を展開する場面や,鉄道駅に広告を掲載する際に多くのフローの目につくような広告掲載駅を決定する場面など,幅広い応用をもつ.鉄道流動データと広告掲載料のデータを利用して,京王電鉄の6路線69駅からなる路線網上での最適配置結果を分析する.本分析結果から,京王電鉄鉄道網においては,(1)優等列車の停車駅は施設配置コストが高いことを考慮しても配置場所として有利であること,(2)資金制約型モデルの配置結果は,同数の施設を配置する場合の最大捕捉フロー量に近い値を確保しつつ,比較的少ない資金で捕捉可能な傾向があること,が確認できた.
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