大腸癌の基底膜や細胞外基質成分であるラミニン(LN),IV型コラーゲン(C-IV),フィブロネクチン(FN),III型コラーゲン(C-III)とその受容体,そしてマトリックスメタロプロテァーゼ(MMP)の局在と癌細胞の脈管侵襲や壁深達度との関連性について免疫組織化学法とRT-PCR法,in situ hybridization(ISH)法にて検討した.基底膜成分のC-IV,LN,C-IIIの局在が癌の進行とともに減少し,C-IV,LNでは癌がpmに浸潤すると,その局在は有意に減少し受容体に変化をみた.リンパ節転移を認める症例でLNのみが有意に減少していた(p<0.01).間質ではpm以上に浸潤した症例でFN,C-II,LNの増加と,リンパ節転移を有する症例でC-Nの有意な増加を認めた(P<0.05).RT-PCR法とISH法では,癌巣周囲の正常腺管と癌組織内の間質細胞にMMP-2とそのm-RNAの発現を認めた.以上の細胞生物学的知見は,癌細胞と基底膜,間質の相互作用の重要性を示唆していると思われた.
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