過大な力学的負荷により発生する肩関節脱臼後には,肩関節の不安定性が遺残することが多い.脱臼後の理学療法は観血的治療あるいは保存療法にかかわらず,一定期間は前下関節上腕靭帯-関節唇複合体への負荷を回避し,肩関節に不安定性を残さないように心がけることが最も重要である.装具療法は,治癒過程にある軟部組織への外部からの過大な負荷を,少しでも軽減させる効果が期待される.しかしながら,これまで再脱臼を予防する手段として本邦で使用されてきた装具は,ラグビー選手の再脱臼率を低下させるには至っていない.われわれが開発したElastomeric shoulder braceは,上腕骨頭の制動,タックル姿勢の制御,再脱臼の予防に効果を認めたことから,コリジョンスポーツ選手に対し,有効な手段となることが期待される.
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