小児の咀嚼機能と短期記憶との関連性を検討する目的で,岐阜県と大阪府の2ヵ所の某幼稚園の5歳5ヵ月から6歳5ヵ月の園児56名(男児27名,女児29名)と岐阜県の某中学校の12歳1ヵ月から15歳1ヵ月までの3学年の中学生98名(男子62名,女子36名)の合計154名を対象として,咬合力の測定と数唱テストを行った.さらに,幼稚園児には硬い食品を用いて6ヵ月間の咀嚼訓練を行い,この咀嚼訓練前後に咬合力の測定と数唱テストを行い,以下の結果を得た.
1.幼稚園児の咬合力と数唱テストの順唱および逆唱との間にそれぞれ有意な正の相関関係を認めた.
2.咀嚼訓練によって咬合力は有意に増加し,数唱テストの平均点は順唱および逆唱ともに有意に増加した.さらに,順唱の得点の上昇者は咀嚼訓練を行わなかった者に比べ有意に多かった.
3.中学生の各学年で咬合力と数唱テストの順唱との間に有意な正の相関関係を認めた.しかし各学年で咬合力と逆唱との間に有意な相関関係は認めなかった.
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