1.1954年4月,1番茶芽伸育中の鋏摘成木茶園に人力用肩掛噴霧機により6斗式ポルドウ液を反当8斗,背負式ミスト機により6斗式ボルドウ液を反当8斗及び2斗式ポルドウ液を反当8/3斗それぞれ撒布して,各処理区における葉の表裏両面への薬液の附着状況を調査した。
2.調査の方法としては,各処理区より新環及び古葉を畦の頂部及び側部から同数ずつサンプリングして,これを酢酸酸性のフェロシァン化カリ溶液に浸した濾紙にはさみ加圧して,濾紙上に附着したフェロシァン化銅の肉眼観察により環面への薬液の附着状況を判定した。
3,調査の結果,肩掛噴霧機使用区では新葉,古葉のいずれに対しても表面にはよく薬液が附着していたが,裏面にはごくわずかしか附薫していなかった。ミスト機使用区では古葉に対しては前者と同様であったが・新葵に対しては相当程度襄面にも薬液が附着していた。
4。環面上の薬液の分布状況は肩掛噴霧機使用区よりもミスト機使用区の方が良好のようであり,特に2斗式ポルドウ液撒布区において一層良好のようであって,少量濃厚液撒布によつて分布状況が不均一となる傾向は認められなかつた。
5.但し,この程度の附着状況の差異によつて,どれだけ実際の防除効果が異なるかについては,なお検討の余地がある。
6,睦の頂部と側部との間には附着状況の顕著な差はみられなかつた。
7.薬害は全く認められなかつた。
8.ミスト機は今後茶園薬剤撒布において一応有望視される防除機具と言えるであろう。
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