小学校高学年の児童を対象に,作品鑑賞時の視点の位置の変化の理論的解釈と指導方法を探った。実践や発達における様々な研究から,作品鑑賞時における視点は,自覚性と随意性の獲得により四段階になっていると推測された。作品の「内容的側面をとらえる視点」「形式的側面をとらえる視点」「評価をする視点」「批評をする視点」である。これらの視点は順に作品から遠のき上昇し,俯瞰できるようになる。また,「内の視点」や「外の視点」でとらえた作品の直感・解釈は,児童の経験が反映されたものである。そのため鑑賞者の作品のとらえ方は独自のものになる。鑑賞者の経験が豊かになれば,作品のとらえ方も豊かになる。そして,これらの解釈を踏まえて指導を行うことで,小学校第6学年の児童であっても作品を批評する視点を持てることが実証された。
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