本論文では,排水機能を有するスパイラル羽根付き鋼管(以下,SDPRとよぶ)を試験施工した高速道路盛土を対象に,飽和・不飽和浸透流解析を用いて盛土の地下水位変動の再現を行い,降雨・地震時における安全率改善効果を数値解析的に調査し,適切な打設条件を検討した.得られた結論を以下に示す.(1) 比較的透水性の低い盛土では,長さ6mのSDPRを水平間隔3mで打設することで,無補強の場合と比較して降雨による安全率の低下を約40%に抑えることができ,降雨後3日において無降雨状態の安全率にまで急速に回復できる.(2) 降雨時に地下水位が上昇する高さである盛土の中段と下段にSDPRを打設することで高い安全率改善効果が得られる.(3) 降雨・地震時において最も効果的に盛土の安定性を改善するSDPRの長さは6~9m,水平間隔は3~5mとなる.
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