本研究の目的は,
看護学生における領域別看護学実習への不安と基礎看護学
実習の経験の認識との関連を明らかにすることである。
同じカリキュラムで進行する協力の得られた看護専門学校5校の
看護学
生436名を対象に,2016年6月~2016年7月の領域別
看護学
実習開始前に調査を実施した。領域別
看護学
実習に対する不安を評価するため,3因子(脅威的感情,挑戦的感情,有害な感情)17項目からなる臨床実習用ストレス尺度(鹿大版CSQ)などを用いた無記名自記式質問紙による横断研究を行なった。
436名の対象者に対し,回収数334名(回収率76.6%)であった。有効回答は321名(73.6%)であった。臨床実習用ストレス尺度(鹿大版CSQ)の3因子それぞれを目的変数として,重回帰分析を行ったところ,自由度調整済み決定係数は,脅威的感情を目的変数にした場合,R2=0.429であった。最も寄与の大きい説明変数は,「今後の領域別
看護学
実習で看護過程を展開することが不安である」であった。挑戦的感情を目的変数にした場合,R
2=0.394であった。最も寄与が大きい説明変数は,「看護が好きである」であった。有害な感情を目的変数にした場合,R
2=0.431であった。最も寄与が大きい説明変数は,「看護が好きではない」であった。
また,重回帰分析の結果より「基礎
看護学
実習の課題の量が適切ではなかった」「基礎
看護学
実習中に失敗をして辛い思いをした」「基礎
看護学
実習の到達度に満足していない」「グループメンバーとの関係性が良好でなかった」という基礎
看護学実習の経験の認識が領域別看護学
実習の不安に関連していると考えられた。
以上のことは,基礎
看護学
実習の経験から看護過程の展開への不安,コミュニケーションが得意ではないこと,看護が好きではないことが,領域別
看護学
実習での不安の関連要因であることを示している。したがって,基礎
看護学実習終了後の看護学
生への個々の到達度に合わせた支援をすることで領域別
看護学
実習への不安も軽減できると考える。
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