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32件中 1-20の結果を表示しています
  • 境垣内 岳雄, 森田 茂紀, 阿部 淳, 山口 武視
    日本作物学会紀事
    2005年 74 巻 3 号 285-290
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/12/22
    ジャーナル フリー
    ポットおよび水田で栽培した水稲品種コシヒカリを用いて, 追肥窒素が水稲に吸収される様相を把握するため, 追肥後における茎基部からの出液速度と出液の窒素濃度から出液中の窒素量を推定し, その経時的な推移について検討した. ポット, 圃場試験ともに, 出液の窒素濃度は硫安追肥後6時間目以降に上昇が認められ, 24時間目に最大となった後は漸減した. 出液の窒素濃度の上昇までに6時間以上が経過しているが, これは追肥が土壌中で拡散して根に吸収されて木部導管に入るまでに要する時間と考えられた. 圃場試験の追肥後168時間目では, 追肥区の出液の窒素濃度が追肥を施用しない対照区と同じレベルまで低下しており, 追肥の吸収は終了したと考えられた. なお, 出液の窒素分析の結果から, 圃場試験の追肥後168時間目での追肥硫安の利用率を推定すると約55%であった. 一方, 出液速度は, ポット, 圃場試験ともに, 出液の窒素濃度の上昇から12時間以上が経過した後に, 追肥区で対照区よりも高くなった. この時間的なズレが生じた原因は, 導管液中の窒素化合物の増加が直接的に根の吸水を促進したというよりは, 追肥による根の生理機能の向上により, 間接的に根の能動的吸水が促進されたためと考えられた. 葉色の反応はさらに遅れて, 追肥後48時間目に初めて追肥区が対照区よりも高くなった. 以上のように, 出液の窒素分析から, 追肥が吸収される様相を詳細かつ迅速に把握できることが明らかとなり, さらに追肥窒素の利用率や土壌中での挙動についても把握できる可能性が示された.
  • 森田 茂紀, 阿部 淳
    根の研究
    1999年 8 巻 4 号 117-119
    発行日: 1999/12/14
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 馬 啓林, 山口 武視, 中田 昇, 中野 貴章, 田中 朋之, 中野 淳一
    根の研究
    2005年 14 巻 1 号 3-8
    発行日: 2005/03/22
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    ダイズの湿害には根の活力低下が関与するため, 根の活力把握が容易である茎基部からの出液を用いて過湿による根系機能低下の評価が可能かどうかを検討した. 品種エンレイを用い, 2002年と2003年にポットおよび圃場栽培し, 播種後約1ヶ月目に12~18日の間で過湿処理を施した. 過湿区の乾物重は対照区と有意な差はなかったが, 葉身窒素含有率では過湿処理による明らかな低下が認められた. 個体当たり出液速度は葉身窒素含有率よりも早く過湿処理に反応し, 処理後6日目より低下が認められた. さらに出液中全窒素量では処理後2日目より低下が認められ, 処理終了時まで常に過湿区が低く推移した. 根粒由来の窒素吸収は過湿条件下では著しく抑制されたが, 根粒由来窒素の多少に関わらず出液中全窒素量で養分吸収能の把握は可能であり, 個体当たり出液速度および出液中全窒素量は過湿による根系機能の低下程度を評価する有用な指標となりうることが示唆された.
  • 小柳 敦史
    根の研究
    1995年 4 巻 2 号 39-42
    発行日: 1995年
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 大橋 善之, 静川 幸明
    根の研究
    2000年 9 巻 2 号 61-64
    発行日: 2000/06/22
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    水稲の根の生理活性が収量や玄米品質に及ぼす影響を明らかにするため, 玄米品質の異なる酒造好適米の五百万石及び祝とうるち米のフクヒカリ, 日本晴及び祭り晴の5品種を用いて登熟期間の出液速度を根系機能の指標として検討した. その結果, うるち米や酒造好適米という用途に対応した傾向は認められなかったが, 極早生品種では中生品種に比較して登熟に伴う出液速度の低下が小さかった. また, 出液速度を穂数で割って単位根数当たりの生理活性を推定して, 1穂当たりの出液速度と調査時の地温との関係を検討したところ, 両者の間には有意な正の相関が認められ, 単位根量当たりの生理活性が品種によらずほぼ一定であること, また, 地温の影響を大きく受けることが示唆された. 一方, 出液速度と収量 (精籾重) との関係については, 出穂期, 出穂20日後とも出液速度と収量との間には明らかな関係は認められなかった.
  • 山口 武視, 津野 幸人, 中野 淳一, 真野 玲子
    日本作物学会紀事
    1995年 64 巻 4 号 703-708
    発行日: 1995/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水稲茎基部からの出液は, 根の呼吸に関連する生理活性と関係していると考えられるが, 同一の齢でも出液速度が大きくばらつくことが指摘されている. そこで, 出液の測定条件を検討し, 出液に関与する要因を明らかにして, 出液速度で生理活性を把握できるかどうかを検討した. 同一個体内で出液を採取する茎以外の茎に葉が着生していると, それの蒸散のために出液量が減少した. したがって, 出液を採取する際には, 測定個体のすべての茎を切除する必要を認めた. 切断部の茎断面積と1茎当たり出液速度とは高い正の相関関係があり, 断面積の大きい茎, すなわち太い茎は茎断面積当たりの出液速度も高い値であった. 地温が7℃から29℃までの範囲では, 出液速度は地温に伴って指数関数的に増加し, その温度係数(Q10)は2.2で, 根の呼吸速度の温度係数とほぼ同じ値であった. 上記の測定条件を考慮したうえで, 穂ばらみ期以降の根の呼吸速度と出液速度との関係を検討した結果, 両者の間には高い正の相関関係が認められた. これより, 根の生理活性が重要な問題となる登熟期では, 出液速度から根の生理活性を推定することができ, 出液速度の測定は, 根の診断のうえで有効で簡便な手法のひとつとしてあげることができる.
  • 森田 茂紀, 岡本 美輪, 阿部 淳, 山岸 順子
    日本作物学会紀事
    2000年 69 巻 1 号 80-85
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    植物の茎葉部分を切除すると切口から溢泌液が出てくる出液現象は, 根圧による能動的吸水に基づくため, 根系全体の生理的活性の指標となる可能性が高い.そこで本研究では, 圃場で慣行栽培したトウモロコシを用いて, 出液速度の基礎的特性を検討した.出液速度を測定するために茎葉部を切除すると, 生育段階や時刻に関係なく, その直後から出液速度が低下したことから, 茎葉部を切除した影響が比較的早い時期から現れることが明らかとなった.そこで, 毎回異なる個体について茎葉部を切除した直後の出液速度を調査したところ, 午前8時前後に最大値となる日変化が認められた.この結果を踏まえて, 午前中の一定時刻における出液速度を生育初期から登熟にかけて調査したところ, 雄穂が出現する(播種後50日目)ころまで増加し, それ以降は減少した.根系形成をみると, 茎の頂端側から出現した節根ほど節当たりの数が多く, 直径が大きかったが, 雄穂が出現するころには新しく出現してくる節根の数が少なく, 個体当たりの根量は生育に伴ってS字曲線を描いて増加した.個体当たりの出液速度と根系のいくつかの形質との関係を検討したところ, 雄穂の出現時まではそれぞれの間に密接な高い正の相関関係が認められたが, 雄穂が出現してから成熟までは関係が明らかでなかった.出液速度は根量と単位根量当たりの出液速度によって規定される, という視点から解析を進めた結果, 単位根量当たりの出液速度は播種後35日目ころまで増加し, その後減少することが明らかとなった.
  • 荒木 卓哉, 吉田 敏, 北野 雅治
    根の研究
    2001年 10 巻 1 号 19-23
    発行日: 2001/03/27
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    トマトの茎の基部における木部溢泌液の出液速度とCa2+濃度から根のCa2+吸収速度を評価し, Ca2+吸収の水吸収および根の呼吸への依存性について検討した. 明期における出液速度は, 基部切断前の地上部蒸散速度の約3分の1で, 暗期に比べ2~5倍高かった. また, 溢泌液のCa2+濃度は培養液中のCa2+や濃度よりも3~4.5倍高く, 暗期の約1.5倍であった. これらのことから, 明期のCa2+吸収速度は, 暗期よりも3~5.5倍大となった. 明期において, 蒸散流を抑制した個体においては切断後の出液速度が低下し, 根の呼吸を抑制した個体においては出液速度およびCa2+濃度が低下した. その結果, Ca2+吸収速度は低下した. 暗期における低いCa2+吸収速度は, 暗期の根の呼吸を高めても促進されなかった. 以上のことから, 明期におけるCa2+吸収は, 根の水吸収および呼吸によって律速される一方, 暗期においては根の呼吸がCa2+吸収の律速要因とはならなかった. このように, カルシウム吸収が根の水吸収および呼吸に依存することについて, Ca2+チャンネルおよびCa2+ポンプを有する内皮の機能に関連させて考察した.
  • 山口 武視, 津野 幸人, 中野 淳一, 真野 玲子
    日本作物学会紀事
    1995年 64 巻 3 号 529-536
    発行日: 1995/09/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    水稲の幼穂形成期から登熟期にかけて茎基部からの出液を採取し, 出液中のアンモニア態窒素, 珪酸ぉよびカルシウムを定量して, それらと根の呼吸速度との関係を検討した. 処理区として, 堆肥, 生ワラなどの有機物を施用した区, 多窒素区および75%遮光区などの合計11区を設けた. 出液中のアンモニア態窒素濃度は, 遮光区が登熟期平均で8.3ppmと他の処理区平均0.6ppmより高い値を示した. 遮光区の根は, 全糖含有率が0.2%と極端に低下(対照区1.0%)しており, 根の全糖含有率が低下すると出液中のアンモニア態窒素濃度が上昇する傾向が認められた. 出液中の珪酸濃度は, 幼穂形成期に高く, その後登熟の進行とともに漸次低下した. これは根の呼吸速度の変化と同様の傾向であった. 出液中のカルシウム濃度は生育期間を通して, 概ね一定濃度で推移した. 根の呼吸速度と出液中の珪酸濃度および出液中の珪酸含有量とは, 高い正の相関関係があった. また, 根の呼吸速度と出液中の珪酸:カルシウム比との間には, 正の相関があり, 根の呼吸速度が高い場合には, 珪酸:カルシウム比が高いことを認めた. したがって, 呼吸速度の高い根を有する水稲では, 葉身中の珪酸含有率が高くなる可能性が示唆された.
  • 金田 吉弘, 板垣 千絵, 佐藤 孝, 田代 卓, 佐藤 敦
    日本作物学会紀事
    2006年 75 巻 2 号 204-209
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/14
    ジャーナル フリー
    2004年の台風15号は, 日本海沿岸部の水稲に甚大な潮風害を発生させた. 潮風害と水稲根活性の関係を明らかにするために, 八郎潟干拓地における代かきおよび不耕起水田において水稲の生育時期別の出液速度を測定した. また, 台風前の出液中のケイ酸量および稲体ケイ酸含有率と台風後の枯葉率の関係を検討した. その結果, 出液速度は不耕起区で高く推移した. また, 台風前の不耕起区における出液中のケイ酸量は代かき区に比べて多く, 稲体ケイ酸含有率は葉身, 茎において不耕起区が代かき区より有意に高かった. 台風通過後の不耕起区の枯葉率は代かき区に比べて小さく, 葉色の低下も緩やかであった. 不耕起区では代かき区に比べて, 登熟歩合が有意に高く, 収量は49%優った. また, 不耕起区では粒厚が厚い玄米の割合が多かった. 以上のことから, 不耕起区では水稲根活性の向上により代かき区に比べて, 強風による水分ストレスが軽減され, 生育後半まで葉身窒素濃度が維持されたため, 潮風害による大幅な減収が軽減された可能性が示唆された.
  • 萩原 素之, 服部 篤司, 井上 直人, 金 漢龍
    根の研究
    1998年 7 巻 4 号 101-104
    発行日: 1998/12/16
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
  • 楊 知建, 佐々木 修, 下田代 智英, 中釜 明紀
    日本作物学会紀事
    2001年 70 巻 4 号 561-567
    発行日: 2001/12/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    中国湖南省のインド型水稲の二期作地帯では第一作目の育苗期の苗の低温障害が栽培上大きな問題である.そこで現在普及しているインド型品種(浙9248,湘24号)と低温抵抗性の異なる日本型I品種(コシヒカリ)および日本型II品種(胆振早稲,はやゆき)を供試し,育苗期における根の生長に対する低温の影響を調べた.処理温度は8,11,14℃とし,低温処理時および常温(20℃)回復後における根の生長と出液速度を測定し,低温下における各品種の根の生長反応と生理活性の関係について検討した.低温時においてはいずれの品種も低温強度が強いほど,また低温期間が長いほど根の生長および出液速度は抑制されたが,その抑制程度には品種間差が認められ,日本型II品種に比較してインド型品種および日本型I品種で抑制が大きかった.また,出液速度は低温の継続に伴ってインド型品種および日本型I品種で急激に低下したのに対し,日本型II品種では低下がほとんど見られず,根の生長限界温度である8℃においても処理開始時の出液速度が維持された.一方,常温回復後の根の生長および出液速度の回復は,低温強度が強いほど,また低温期間が長いほど遅れる傾向を示したが,遅れの程度は品種によって異なり,インド型品種で最も大きく,日本型I品種,日本型II品種の順に小さかった.とくに低温時における出液速度の大小と常温回復後の出液速度および根の生長回復との間には密接な関係が認められ,日本型II品種と比較して低温時における出液速度が劣るインド型品種と日本型I品種では出液速度および根の生長の回復も著しく劣っていた.以上のことから,低温ストレス下における根の生理活性の維持能力に品種間差があり,それが高く維持される品種ほど常温回復後の生理活性の回復が速く,このことが品種による根の生長回復量の差となって現れたのではないかと考えられた.
  • 根長と根域温度が出液速度に及ぼす影響
    阿部 淳, 森田 茂紀
    根の研究
    2004年 13 巻 2 号 61-65
    発行日: 2004/06/28
    公開日: 2009/12/18
    ジャーナル フリー
    トウモロコシ幼植物を材料に用いて, 根系全体の活力を出液速度で評価し, 根量と根域温度によりどのような影響を受けるかを考えさせる学生実験プログラムを提案する. 綿トラップを用いた出液速度測定法と, 格子法による根長の測定法を習得させる.
  • 松江 勇次, 尾形 武文
    日本作物学会紀事
    1999年 68 巻 2 号 206-210
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    良食味米生産技術の改善上の知見を得るために,水稲の稈長+穂長の大,中,小別とそれぞれの穂に着生している米の食味および理化学的特性との関係を検討した.稈長+穂長が大の分げつは低次位低節位からの発生で,茎は太く,穂に着生した玄米の千粒重は重かった.稈長+穂長が大の穂に着生した米の食味は稈長+穂長が中,小の穂に着生した米の混合米に比べて外観は同程度であったが,味が優れ,粘りが強くなって総合評価は優れた.稈長+穂長が大の穂に着生した米の理化学的特性は稈長+穂長が中,小の穂に着生した米に比べてタンパク質含有率は低く,アミロース含有率は高かった.また,アミ口グラム特性の最高粘度は高く,ブレークダウンは大きく,テクスチャー特性のH/-H,H/A3は小さい傾向を示した.稈長+穂長の大きさ別の玄米千粒重とタンパク質含有率,テクスチャー特性のH/-HとH/A3との間にはそれぞれ負の相関関係が,アミロース含有率,アミ口グラム特性の最高粘度とブレークダウンとの間には正の相関関係が認められた.したがって稈長+穂長が大,中,小の穂に着生した米の食味および理化学的特性の違いは,稈長+穂長の大きさと密接に関係のある米粒の充実度を示す玄米千粒重の差異によるものと考えられた.これらのことから良食味米生産技術の改善という視点からみて,稈長+穂長が大きい稲体を確保することが必要であり,そのためには低次位低節位からなる茎の太い分げつの早期確保と充実をはかり,千粒重の重い玄米を生産することの重要性が示唆された.
  • 三原 千加子
    日本作物学会紀事
    2009年 78 巻 4 号 471-475
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/11/10
    ジャーナル フリー
    水田で無代かきで栽培した水稲について慣行の代かき栽培と比較し,生育特性,収量および生育後半の根の生理的活性として出液速度を比較した.その結果,無代かき栽培では前半の生育が旺盛になりやすく,さらに,生育後半の出液速度が高く,根の生理的活性が高く維持されていたと考えられた.しかし,収量は,慣行の代かき栽培を下回ったことから,収量が多く,品質が常に安定する栽植密度・施肥等の栽培条件と前半の適正な生育量を把握することが課題と考えられた.
  • 李 忠烈, 津野 幸人, 中野 淳一, 山口 武視
    日本作物学会紀事
    1994年 63 巻 2 号 223-229
    発行日: 1994/06/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    土壌水分の減少に基因する萎れと枯死現象, 再給水による光合成速度の回復ならびに出液速度と根の呼吸速度との関係を明らかにしようとした. 韓国品種の黄金と短葉ならびに日本品種のエンレイを1991, 92年に同一のポットに播種し, 1本仕立てとして土壌水分がpF1.9になるよう灌水し, ガラス室内で生育させた. 出芽後56日から断水処埋を行い, 主茎葉の萎れと再給水による萎れの回復を観察した. 土壌水分の欠乏にともなって葉の萎れは下位葉より始まり上位葉に及び, 回復はこれとは逆の順序であった. 水分欠乏による主茎葉の枯死順位は萎れの傾向と同様であり, 土壌水分がpF3.5に達すると, 最下位葉より枯死が始まり, pF4.2で全ての主茎葉が枯死した. 断水処理後再給水し, その後3時間にわたって光合成速度の回復を経時的に測定したところ, 光合成の回復が良好な個体は, 根の呼吸速度が高く葉面積/根重比が小であった. 茎基部からの出液速度の経時的変化を調査した結果, 茎切断後2時間はほぼ一定値であった. 出液速度は細根呼吸速度と高い正の相関関係を認めた. また, 根のN%と細根呼吸速度との間には前報と同様に高い正の相関関係が得られた.
  • 渡邊 和洋, 新野 孝男, 村山 徹, 南條 正巳
    日本作物学会紀事
    2011年 80 巻 4 号 391-402
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/11/02
    ジャーナル フリー
    定植前リン酸苗施用による定植後の初期生育の促進効果について,キャベツとトウモロコシを供試し,乾物生産特性,光合成,根の生理活性と伸長,および無機養分吸収の面から調査,解析を行った.定植前リン酸苗施用により,両作物とも,リン酸処理直後の7~14日頃までは,生育の促進は認められなかったが,その後の1~2週間に純同化率(NAR)が高まることで,生育が促進された.このNARが向上する期間は,光合成速度も高くなった.光合成速度の増加には気孔コンダクタンスの増加が寄与していたが,トウモロコシでは葉身中のリン含有率の増加も重要な要因であった.無機養分の吸収については,リンとカリ含有量が高まり,キャベツでは下位葉でも高く維持された.また,処理液に含まれるリンやカリだけでなく,マグネシウムなどの他の必須養分の吸収が促進されることもあった.一方,呼吸速度や茎基部出液速度などの根の生理活性も高まる傾向が認められ,セル苗のキャベツでは根の伸長も促進された.以上の結果から,リン酸の定植前苗施用は,リンの吸収を高めることで,光合成および根の生理活性を高め,殊にキャベツでは根の伸長も促進することで活着を早め,茎葉への水と養分の供給を促進して高い光合成活性を維持し,定植後の初期生育を促進しているものと考えられた.
  • 磯部 勝孝, 村上 学, 立石 亮, 野村 和成, 井上 弘明, 坪木 良雄
    日本作物学会紀事
    2002年 71 巻 1 号 91-95
    発行日: 2002/03/05
    公開日: 2008/02/14
    ジャーナル フリー
    アーバスキュラー菌根菌(以下AM菌)の感染によって宿主作物の生育が促進されるのは主にAM菌の外生菌糸が吸収したミネラルを宿主作物に供給するからと考えられている.しかし,AM菌の感染によって根系の形態が変化し,養水分の吸収が盛んな根端が増え,根の生理活性に変化が生じると仮定すると,必ずしも外生菌糸を通じて吸収された養水分だけが宿主の生育促進をする要因とは考えにくい.そこで本報ではインゲンマメにAM菌が感染した際,根系の形態と生理がどのように変化するかを明らかにした.リンを施用したりAM菌が感染するとインゲンマメの地上部乾物重,葉面積および地下部リン含有率が高まった.さらに,AM菌が感染すると主根,一次根および二次根が短くなり,個体あたりの一次根数,二次根数が少なくなった.ただし,単位根長あたりの一次根数と二次根数は,AM菌が感染しても変化しなかった.また,根系の形態変化はリンを施用した際には生じなかった.このことからAM菌の感染による根の形態変化はAM菌が根に感染することが影響していると推察された.さらにAM菌が感染すると単位根量あたりの出液速度とTTC還元力が高まった.しかし,AM菌が感染すると全根長が短くなるため,個体当りの出液量は対照区と差がなかった.ただし,AM菌の感染に伴う出液速度とTTC還元力の上昇は根の生理活性の変化によるものかAM菌の吸水や還元力によるものかは明らかにできなかった.以上のことからAM菌の感染は根系の形態を変化させるが,根の生理にも影響を及ぼすかは今後の課題である.
  • 趙 仁貴, 劉 建, 塩津 文隆, 豊田 正範, 楠谷 彰人, 武田 真, 一井 眞比古
    日本作物学会紀事
    2006年 75 巻 2 号 148-152
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/06/14
    ジャーナル フリー
    水稲品種オオチカラとその短根性準同質遺伝子系統IL-srt1を供試し, 出穂期における地上部と根の形質, 出液速度および止葉の光合成関連特性を比較した. IL-srt1の草丈はオオチカラより有意に低く, 株当たり茎数と地上部乾物重も有意に少なかったが, 茎当たり地上部乾物重に有意差はみられなかった. 株当たりの出液速度はIL-srt1の方がオオチカラよりも有意に低く, IL-srt1/オオチカラ比は56%であった. そこで, この差を根量と根量当たり出液速度に分けて検討した. その結果, 総根長と総根重のIL-srt1/オオチカラ比は30%と35%, 総根長および総根重当たり出液速度の同比はそれぞれ188%と163%であり, いずれにも有意差が認められた. すなわち, 根量はオオチカラの方が多く, 根量当たり出液速度はIL-srt1の方が高かった. これらより, IL-ssrt1は根の量が少ないために根全体の生理機能はオオチカラより低くなったが, 個々の根の生理活性はオオチカラを上回っていると推測された. また, 光合成関連特性に関してはIL-srt1とオオチカラとの間に有意差は認められず, 短根遺伝子srt1は光合成に影響しないと考えられた.
  • 中野 有加, 渡邉 慎一, 岡野 邦夫, 巽 二郎
    園芸学会雑誌
    2002年 71 巻 5 号 683-690
    発行日: 2002/09/15
    公開日: 2008/01/31
    ジャーナル フリー
    湿気中根を形成する保水シート耕(WSC区)と水中根を形成する湛液水耕(DFT区)において, 人工気象室内で生育温度条件を15℃, 25℃および35℃の3段階に変えてトマトを栽培し, 根の生理活性や根系形態を比較することにより湿気中根と水中根の温度適応性の違いを検討した.DFT区における液中溶存酸素濃度は飽和量の93%以上で推移した.トマト植物体の生長は, 全ての温度条件下において, WSC区でDFT区より旺盛であった.根系当たりの出液速度は15℃区と35℃区ではWSC区でDFT区より大きかったが, 根乾物重当たりの呼吸速度は常にDFT区でWSC区より大きかった.根系形態は25℃区では両方式で差異はなかったが, 15℃および35℃区ではWSC区でDFT区より側根長および根投影面積が大きかった.また, フラクタル次元は15℃ではWSC区でDFT区より大きく, 根系がより複雑に発達したことを示した.これらの結果から, 湿気中根は水中根に比べて温度適応性に優れ, 不適温度条件下においても根系の拡大・発達と生理活性を維持できるため, 地上部生長の抑制が水中根と比較して小さかったものと考えられる.
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