目的:臨地実習における「学生の看護上の判断」の概念を明らかにすることを目的とした.
方法:Walker & Avantの概念分析の方法を参考に,入手可能な全ての文献を対象として分析を行い概念分析を実施した.
結果:先行要件は,【臨地実習における状況下】【受け持ち対象者との関わりの場面】【学生自身が実践するケア場面】【学生自身が判断に困った場面】【学生自身の思考が始まる場面】に分類された.次に,属性は,【患者を理解した上での決定】【ケア実施に伴う決定】【看護過程の各段階における決定】【一時点における決定】【プロセスを伴う決定】【学習の土台となる基本的な学生自身の能力】【高度な学生自身の思考能力】【未熟な学生自身の能力】に分類された.また,帰結は,【クリティカルシンキング・看護過程の思考法の定着】【アセスメントの向上】【正確な対象理解】【適切なケアの実践】【状況における判断】に分類された.
考察:臨地実習における「学生の看護上の判断」には,決定の範囲があるということ,一時点における決定とプロセスを伴う決定があるということ,影響を与える学生自身の能力が存在するという3つの特徴があると考えられた.また,【患者を理解した上での決定】と【ケア実施に伴う決定】は,患者の存在無くしては学ぶことのできない看護上の判断と考える.
結論:臨地実習における「学生の看護上の判断」には,学生自身で獲得することが困難な看護上の判断もあるため,教育による支援が不可欠であるといえる.中でも,【患者を理解した上での決定】や【ケア実施に伴う決定】といった看護上の判断を育成するには,患者へのケアを共有することが重要であることが示唆された.
抄録全体を表示