2004年2月22日夜から23日朝にかけて北海道空知,日高および根室地方で着氷性の雨が降り,雨氷が発達した.気温の鉛直分布から,札幌では2月22日21時に,根室では23日9時には上空で気温がプラス,地上付近で気温が再び氷点下となる温度逆転層が存在し,着氷性の雨が降る条件であった.
2月24日に空知の広域観察を行った結果,岩見沢から砂川にかけて雨氷を確認することができた.また,後日の調査で日高,根室において雨氷が成長したことが分かった.激しい着氷雪は気象測器に可動不良を起こすことから,アメダスおよび国道の気象テレメータの風向風速データの欠測期間から着氷発生期間の推定を試みた.
雨氷の発生域をさらに把握するために,メソ客観解析データおよび数値地図標高データを用いて,降雪粒子の融解条件と雨滴の凍結条件を雨氷発生モデルにより検討し,北海道全域における着氷性の雨の発生域の推定を行なった.その結果,空知中・南部,日高の標高の低い地域および根室で広範囲に雨氷が発生したことが明らかになった.
地上観察と測器の動作異常から推定した雨氷の発生域と,メソ客観解析データを用いた本研究の解析手法による結果を比較したところ,良い一致が見られた.
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