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クエリ検索: "石巻市立大川小学校"
44件中 1-20の結果を表示しています
  • 釘﨑 佑樹
    土壌の物理性
    2015年 129 巻 45-47
    発行日: 2015年
    公開日: 2021/07/28
    ジャーナル フリー
  • *瀧本 家康
    日本地理学会発表要旨集
    2017年 2017s 巻 134
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/05/03
    会議録・要旨集 フリー
    阪神大震災から21年,そして東日本大震災から5年が経った.神戸の市街地は震災から21年を経て建物等の復興は進んだ.一方,仙台を含む東北地方の被災地では,復興が停滞し,住民が政府へ復興の加速を願っている地域もまだ多く残されている.
    そこで,神戸大学附属中等教育学校では2015年度より神戸と仙台の被災地間の交流を始めた.2016年3月に震災遺構を軸としたフィールドワークを実施した.
    本発表では,その概要と成果について報告する.
  • *青木 賢人, 林 紀代美
    日本地理学会発表要旨集
    2020年 2020s 巻 P148
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/03/30
    会議録・要旨集 フリー

    Ⅰ 問題の所在

    2011年の東日本大震災の際に発生した宮城県

    石巻市立大川小学校
    の事案は,学校防災に携わる人々に大きな衝撃を与えた.2018年4月,仙台高等裁判所が示した判決が,2019年10月に,最高裁判所が宮城県と石巻市の上告を棄却することで確定した.

    既に多くの指摘がなされているように,この確定判決の大きなポイントは「事前防災」の重要性が指摘されたことである.判決では,以下の2点が指摘されている.

    校長らには児童の安全確保のため、地域住民よりもはるかに高いレベルの防災知識や経験が求められる.公表されていたハザードマップでは,大川小は津波の浸水想定区域外であり,津波発生時の避難場所として指定されていたが,校長らは学校の立地などを詳細に検討すれば津波被害を予見できたと判断できる. 校長らは学校の実情に沿って危機管理マニュアルを改訂する義務があったのに怠った.市教委もマニュアルの不備を是正するなどの指導を怠った.

    最高裁での確定判決は,判例として,今後踏襲されるものとなる.このことは,今後,学校現場における災害対応の基準は「事前防災」であり,ハザードマップの想定を個別に再検証した上で,適切な危機管理マニュアルを策定しなければならず,教育委員会は各校の危機管理マニュアルに不備がないかを検証しなければならないことを意味する.そして,これが不十分であった場合,自然災害で学校管理下の児童・生徒に被害が生じた場合,確実に学校現場と教育委員会の瑕疵が認められることになる.

    極めて高度な情報収集と判断を,必ずしも地理学・地質学が専門ではない学校現場が行うことが可能であろうか.加えて,すべての学校が適切な判断と計画ができているかどうかを基礎自治体の教育委員会が判定することが可能であろうか.情報収集から判断に至る一連の思考過程は,専門的すぎるものであるし,前提となる①のハザードマップの読み取りそのものに求められるスキルが,現在の学校現場には不足していると言わざるを得ない.

    教育現場の働き方改革の流れもあり,これまで以上に,学校現場に負担をかけることも難しい.学校現場が最小限の負荷で,効率的に情報収集と判断を行えるようにするための支援が不可欠である.また,限られた人的リソースで,すべての学校の危機管理マニュアルの検証を行わなければならない基礎自治体の教育委員会への支援も必要となる.

    Ⅱ 学校現場と教育委員会の支援のために

    以上の問題意識から,筆者らは以下のようなことを石川県教育委員会と協同で実施する準備を進めている.

    1.学校現場がハザードマップを適切に読み取れるようにするための作業マニュアルとチェックリストの作成.

    2.基礎自治体の教育委員会が各校の危機管理マニュアルを点検するためのチェックリストの作成

    3.各校・各教委へ専門的な支援をするためのチャンネルの確立

    当面の課題は1である.多数ある学校から「ハザードマップの情報で被災が予測される学校」と「ほぼ確実に被災しないと考えられる学校」をスクリーニングし,グレーゾーンのケースを抽出することまでをマニュアルとチェックリストで実行できるようにしたい.グレーゾーンの学校に対して個別に専門的な支援を行うことで,効率的に,かつ,必要な学校へ支援を届けることができると考える.また,児童・生徒の安全確保の観点から,学校の立地箇所だけでなく,校区全体についても判定することが必要と考える.

    発表では,地震災害と水害について,スクリーニングを実施するためのフローチャートとチェックリストの試案を示す.意見交換を通じて実効性のあるものにブラッシュアップしていきたいと考えている.

  • *村山 良之, 小田 隆史
    日本地理学会発表要旨集
    2021年 2021s 巻 S103
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/03/29
    会議録・要旨集 フリー

    1 東日本大震災における大川小学校の被災

     2004年3月,宮城県第三次地震被害想定報告書が公表された。同報告書内の宮城県沖地震(連動)「津波浸水予測図」(https://www.pref.miyagi.jp/uploaded/attachment/95893.pdf)によれば,

    石巻市立大川小学校
    (当時)や付近の集落(釜谷)までは津波浸水が及ばないと予測され,同校は地区の避難所に指定されていた。1933年昭和三陸津波もここには到達せず,1960年チリ地震津波についても不明と,この地図には記されている。しかし,想定地震よりもはるかに大規模な東北地方太平洋沖地震による津波は,大川小校舎2階の屋根に達し,釜谷を壊滅させた。全校児童108名のうち74名(津波襲来時在校の76[MOユ1] 名のうち72名),教職員13名のうち10名(同11名のうち10名)が,死亡または行方不明となった(大川小事故検証報告書,2014による)。東日本大震災では,引き渡し後の児童生徒が多く犠牲になった(115名,毎日新聞2011年8月12日)が,ここは学校管理下で児童生徒が亡くなった(ほぼ唯一の)事例であった。

    2 大川小学校津波訴訟判決の骨子

     2014年,第三者委員会による「大川小学校事故検証報告書」発表の後,一部の児童のご遺族によって国家賠償訴訟が起こされた。2016年の第1審判決では,原告側が勝訴したが,マニュアルの不備等の事前防災の過失は免責された。しかし,第2審判決では事前の備えの不備が厳しく認定され,原告側の全面勝訴となり,2019年最高裁が上告を棄却し,この判決が確定した。

     同判決における学校防災上の指摘は,以下の通りである(宮城県学校防災体制在り方検討会議報告書,2020を一部改変)。

    ① 学校が安全確保義務を遺漏なく履行するために必要とされる知識及び経験は,地域住民が有している平均的な知識及び経験よりも,遙かに高いレベルのものでなければならない(校長等は、かかる知見を収集・蓄積できる立場にあった)。

    ② 学校が津波によって被災する可能性があるかどうかを検討するに際しては, 津波浸水域予測を概略の想定結果と捉えた上で, 実際の立地条件に照らしたより詳細な検討をすべき 。

    ③ 学校は,独自の立場から津波ハザードマップ及び地域防災計画の信頼性等について批判的に検討すべき。

    ④ 学校は,危機管理マニュアルに,児童を安全に避難させるのに適した避難場所を定め,かつ避難経路及び避難方法を記載すべき。

    ⑤ 教育委員会は学校に対し, 学校の実情に応じて,危機等発生時に教職員が取るべき措置の具体的内容及び手順を定めた 危機管理マニュアルの作成を指導し,地域の実情や在校児童の実態を踏まえた内容となっているかを確認し,不備がある時にはその是正を指示・指導すべき。

     災害のメカニズムの理解と,ハザードマップの想定外を含むリスクを踏まえ,自校化された防災を,学校に求めるものである。

    3 大川小学校判決と地理学が果たすべき役割

     大川小判決確定を受けて,「在り方検討会」は,2020年12月「宮城県学校防災体制在り方検討会議報告書」を発表し,判決の指摘や従前の取組を踏まえて,以下の基本方針を提示した。

    ① 教職員の様々な状況下における災害対応力の強化

    ② 児童生徒等の自らの命を守り他者を助ける力の育成

    ③ 地域の災害特性等を踏まえた実効性のある学校防災体制の整備

    ④ 地域や関係機関等との連携による地域ぐるみの学校防災体制の構築

     ここにある③だけでなく,4つの全てにおいて,学校や学区の災害特性について学校教員が適切に把握できることが前提となり,専門家や地域住民との連携が求められる。そのためには,災害に対する土地条件として指標性が高い「地形」の理解が有効かつ不可欠である。このことは,地理学界では常識と言えるが,学校現場(および一般)には浸透していない(小田ほか, 2020)。ハザードマップの想定外をも把握できるよう,たとえば「地形を踏まえたハザードマップ3段階読図法」(村山,2019)等の教育が求められよう。

     大川小判決は,教員研修や教員養成課程において,地理学や地理教育が果たすべき役割が大きいことを示している。2019年度からの教職課程で必修化された学校安全に関する授業や免許更新講習等において,また,高校で必修化される「地理総合」において,地理学および地理教育は,最低限必要な地形理解や地図読図力の向上に貢献し,もって学校防災を支える担い手を増やしていく必要があると発表者らは考える。

  • 小田 隆史
    日本教育経営学会紀要
    2016年 58 巻 82
    発行日: 2016/06/25
    公開日: 2017/07/06
    ジャーナル フリー
  • 岡本 正
    災害情報
    2019年 17 巻 2 号 69-76
    発行日: 2019年
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    東日本大震災で犠牲になった宮城県

    石巻市立大川小学校
    の児童遺族らが提起した訴訟の第一審及び控訴審に現れた事実から、組織のリスクマネジメントや事業継続計画へ反映すべき教訓を抽出する。判決が損害賠償責任(国家賠償責任)を認めたかどうかという結論のみに着目するのではなく、前提として認定されている事実関係にも着目して、いかにすれば結果再発を回避できたのかという視点から、裁判例を「検証」することを試みる。その結果、(1)災害後の情報収集体制の確立とそのための最低限の設備、(2)収集した情報に基づく円滑・的確な判断と立場に応じた行動ができる人材の育成、(3)現場の判断権者の不在を回避するための自動的な権限委譲ルールの事前策定、(4)組織図・指揮命令系統への権限委譲の具体的な反映と残された者の行動指針の事前作成、(5)危機管理マニュアルへの記述・周知及び訓練の実施等が、教訓として浮かび上がる。

    なお、裁判例の検証的活用の考察の前提として、そもそも、2018年度実施の日本災害情報学会及び日本災害復興学会合同シンポジウム「災害における『検証』とは何か」に登壇した各分野の専門家らの間でも、必ずしも共通認識となっていなかった「検証」「第三者委員会」「損害賠償」等の関連用語や概念の整理を行った。

  • 高橋 礼二郎
    日本の科学者
    2018年 53 巻 3 号 02
    発行日: 2018年
    公開日: 2023/12/29
    ジャーナル フリー
  • ─哲学・人文知と科学の知との「協働・共創」の真価が今問われている
    金井 淑子
    学術の動向
    2012年 17 巻 5 号 5_40-5_45
    発行日: 2012/05/01
    公開日: 2012/09/06
    ジャーナル フリー
  • *入江 和夫, 松本 裕美子
    日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
    2012年 55 巻 A4-8
    発行日: 2012年
    公開日: 2014/02/01
    会議録・要旨集 フリー
    1. 研究目的 2011年3月11日に三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東日本大地震が起こった。巨大な津波によって,
    石巻市立大川小学校
    の全校児童の約7割が亡くなる一方,岩手県釜石市では,3000人近い小中学生のほとんどが無事に避難した。背景には,三陸地方の言い伝え「津波てんでんこ」(自分の責任で早く高台に逃げろの意味)に基づいた防災教育があると言われている。家庭科における防災教育では鳥井ら,佐々木らなどの先行研究があり、これらは主に「住生活」における授業構想や指導内容の提案を扱っていた。ここでは家庭科教育及び環境教育などによって育まれる要素を考え、これらが「防災対応力」とどのように関わり、要因となるのかを明らかにすることにした。  2. 研究方法  対象者は国立Y大学の共通教育「生活科学」(大学1年用)の受講者233名であり、授業中に質問紙を配布して、回収した。調査時期は2011年7月であり、統計分析はSPSS(ver.12)及びAMOS(ver.18)を用いた。  3. 結果および考察    (1) 防災意識に関わると考えた要素について因子分析を行った。ネーミングは「家族力」、「規範意識」、「自然体験」、学習観として(=「学習の工夫志向」「学習環境志向」「学習量志向」)、「環境問題の理解意欲」、自然観・科学観として(=「人知を超えた自然観」「寛大な自然観」「未来を築く科学観」)、「節電意識」、災害心理として(=「用意周到志向」「非同調志向」)、防災対応力として(=「家庭内防災対応力」「社会的防災対応力」)とした。下位尺度得点(平均値)が高い項目数は女子>男子であった。    (2) 「防災対応力」を高める要因について   「防災対応力」は「家庭内防災対応力」、「社会的災害抑止・軽減力」の2因子から構成されていた。これらが他の因子と,どのように関わるか、「家族力」を基盤にした仮説モデルをAMOSによって分析した。   (2)-1-1「家庭内防災対応力」を高めるモデル  「家庭内防災対応力」は「防災についての家族の役割を決めようと思う」などから構成されている。これを高める仮説モデルについて直接効果(標準化)で見ると、「家族力」は「家庭内防災対応力」を高める直接の要因とはならなかったが、「学習の工夫」「規範意識」「自然体験」を高め、これらのいくつかが「環境問題の理解意欲」「節電意識」を高めることを通して、目的とする「家庭内防災対応力」を高めていた。このモデルはカイ二乗値が有意でないこと,GFI=0.987,AGFI=0.961,CFI=0.998が1に近いこと,RMSEA=0.021で0.05以下であることから妥当性があった。   (2)-1-2 「家族力」の差を媒介する要因   「家庭内防災対応力」における「家族力」の差を媒介する要因を明らかにするために2要因の分散分析を行った。交互作用が有意だったものについて述べると、災害心理因子「非同調志向」低位群では「家族力」低→高による「家庭内防災対応力」の平均値は(3.107→3.059)でほとんど、「家族力」効果はないが、「非同調志向」高位群でのそれは(2.908→3.467)であり、「家族力」によって「家庭内防災対応力」が著しく高まった。  (2)-2「社会的災害抑止・軽減力」の要因  この因子は「社会貢献したいと思う」などから構成されている。「社会的災害抑止・軽減力」を高める項目として(2)-1に加えて、新たに「人智を超えた自然観」「用意周到志向」が加わった。この仮説モデルはカイ二乗値が有意でないこと,GFI=0.987,AGFI=0.961,CFI=1.000,RMSEA=0.000であることから妥当性があった。
  • -被災地訪問に基づく学習指導計画-
    栗原 清
    環境教育
    2017年 26 巻 3 号 3_11-20
    発行日: 2017年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
  • 亀井 伸二
    デザイン学研究特集号
    2015年 23 巻 1 号 60-61
    発行日: 2015/11/04
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 首藤 由紀
    人間工学
    2018年 54 巻 Supplement 号 1F1-2
    発行日: 2018/06/02
    公開日: 2018/07/10
    ジャーナル フリー
  • 牧野 泰彦
    地学教育
    2016年 69 巻 1 号 15-21
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2017/07/01
    ジャーナル フリー

    本論文は,初めに津波観察用の実験装置作製について解説した.この実験装置を実際に使用して小学校で授業を行って,子どもたちの関心度を調査した.小学校の段階では,津波発生の仕組みや津波の性質を詳細に説明し,理解させる必要はなく,それよりも実験で観察した“津波”の性質を見ることが重要である.“津波”の高さ,エネルギーの強さを観察することが津波に対する避難行動に強く連動するだろう.

  • -津波被害の事例から-
    鈴木 英男, 神野 建
    教育実践学研究
    2012年 16 巻 69-79
    発行日: 2012年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル オープンアクセス
    学校では常に防災が求められる。学校防災は防災教育と防災管理の視点から学校教育活動全体の中で、組織計画的に有機的に行うことは必須である。2011年3月11日宮城県牡鹿半島、東南東沖130kmの海底を震源とするM9.0の東日本大震災が発生した。この地震により、岩手・宮城・福島3県の津波による死亡・行方不明者(公立小中学校)の数は342人に達したとされている。本論文では、津波被害の事例から学校の危機管理に関して考察している。日常の点検の中で、防災訓練を見直し、避難場所、避難経路、避難手段等々についてできるだけ対応を具体化させることが必要である。一つだけでなく、さまざまな代替案を設けて、何が起きても、また、どんな自然災害が発生しても対応できるような事前の協議や話し合いと職員の役割を明確にしておく必要がある。小中高各段階での情報教育の中では、子どもたちに「情報を活用する力」「分析する力」「課題を解決する力」等の能力の育成を図ることが求められている。生徒一人一人に緊急時に際して、自ら情報の発信や受信ができる力を身に付けさせる指導が必要である。
  • *藤岡 達也
    日本科学教育学会年会論文集
    2023年 47 巻 1
    発行日: 2023年
    公開日: 2024/01/22
    会議録・要旨集 フリー

    SDGsと風水害に関する防災・減災,復興に着目し,これからの学校教育や地域啓発の在り方を探り,予測不可能なVUCAの時代,Society5.0などを踏まえ,現代的諸課題解決のための一つの事例として考察する.一連の本研究主題「感情・理性視点からの児童生徒住民の主体的早期避難啓発・教育プログラムの開発と評価」に沿った各研究成果を見据えながら,本稿では,STEAM教育の導入やコミュニティスクールなど地域との連携も意図した開かれた教育課程を検討する.科学技術の発達,社会体制の発展から,災害予測,特に気象災害については情報収集・情報発信などは,格段に進んでいる.しかし,その向上が自然現象による災害被害の減少に直接つながるとは限らない.本発表では,主にSDGsのゴールやターゲットから,誰一人取り残らない学校・地域防災の構築に向けて包括的に論じる.

  • 学校事故をめぐる倫理的応答の軌跡
    石井 美保
    文化人類学
    2021年 86 巻 2 号 287-306
    発行日: 2021/09/30
    公開日: 2021/12/26
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、京都市の小学校で起きたプール事故をめぐる出来事を、遺族とそれを取り巻く人々の実践を中心に記述することを通して、道徳/倫理をめぐる近年の人類学的議論に新たな視座を提示することである。本稿の検討と考察の主軸となるのは、第1に、了解不可能な出来事に一定の意味を与えようとする物語の作用に抗して、事故に関する事実を追求しつづけ、我が子の死をめぐる「なぜ」「どのようにして」という問いを投げかけつづける遺族の実践のもつ意味である。第2に、事故に関する事実の検証や理解をめぐってしばしば立ち現れる、主観性と客観性、あるいは一人称的視点と三人称的視点の対立を調停する、エンパシー的な理解の可能性である。本稿でみるように、事故をめぐる出来事に関わった人々に倫理的応答を要請するものは、亡くなった少女の存在である。遺族をはじめとする人々は、物語の創りだす時間の流れの中に出来事を位置づけるのではなく、あえて「止まった時間」の中に留まり、喪失の痛みとともに生きることで亡き人の呼びかけに応えつづけようとする。このような人々の生のあり方を考察することを通して本稿は、苦悩の経験に意味を与え、混沌にテロスをもたらす物語の作用に注目する道徳/倫理研究の視座を相対化し、物語論に回収されない倫理的な実践の可能性を提示する。

  • 加藤 理
    子ども社会研究
    2021年 27 巻 273-277
    発行日: 2021/06/30
    公開日: 2023/02/27
    ジャーナル オープンアクセス
  • やまだ ようこ
    日本オーラル・ヒストリー研究
    2013年 9 巻 16-24
    発行日: 2013/09/11
    公開日: 2018/12/28
    ジャーナル フリー
  • 首藤 由紀, 田中 達也, 田中 諒介, 吉田 佳絵, 村上 遼
    安全工学
    2015年 54 巻 5 号 354-361
    発行日: 2015/10/15
    公開日: 2016/07/01
    ジャーナル フリー
    東日本大震災の教訓を踏まえ,法改正をはじめとした各種防災・減災対策が進められている.一方で,その後も噴火災害などが相次ぎ,将来的にも大規模な被害をもたらす可能性のある災害の発生が予測されている.本稿では,近年の我が国における防災・減災対策のうち,ソフト面の対策である①火山災害の避難対策,②原子力災害の避難対策,③行政における災害対策本部訓練,④災害時の要配慮者対策,⑤自然災害の事故検証,をトピックとして取り上げ,その現状と課題等を概説する.
  • E-journal GEO
    2021年 16 巻 1 号 187-190
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/06/26
    ジャーナル フリー
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