本稿は,日本で
社会科教育
研究に従事し,学を確立してきた人々に通底する研究観と方法論,ならびにそれが生まれてきた背景を明らかにすることを目的とする。研究方法には質問紙調査を採用し,
社会科教育
研究者の全国組織である日本
社会科教育学会および全国社会科教育
学会の役員121名に調査を実施した。質問紙は,回答者の研究関心,研究方法,海外の研究動向から受けている影響,研究者が担うべき役割に関する見解など,計16項目で構成した。 調査の結果,研究の方法には,「実践提案研究」vs「歴史文献的・哲学的研究」の対立軸が見られること,研究上の関心は,出身の学問分野によって,「教育原理」「教材内容」「子ども」に大きく分かれていくことなどが明らかとなった。一方,研究者の多数派に通底する学問観として,①実践,②研究,③開発・改善,④社会的サービスを包括的に結びつける,規範性の高い日本型・教科教育学(
社会科教育
学)の特色が浮かび上がった。
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