Cr
2O
3-TiO
2系に存在する高指数CS相を透過型電子顕微鏡によって観察した. 1390℃, Cr
2O
3 13.7-24.1wt%組成領域において高指数CS面の方位はCr
2O
3量の減少とともに (121)
r (rはルチル副格子を示す) より (5, 12, 7)
rまで変化し, それに伴いCS面の間隔は12.9Åより18.2Åへと増加した. Cr
2O
3 7.5-13.7wt%組成領域では (5, 12, 7)
r CS相はルチル固溶体と共存し, また (121)
r CS相の上端成分はこれまでX線的にその存在が考えられていた
n=9 (Cr
2Ti
7O
17) ではなく,
n=8 (Cr
2Ti
6O
15) であった. 一定組成試料において, 個々の結晶片によって, CS相の構造は, わずかずつ異なるものも検出され, 通常単一のCS相からなる均質なバルク試料を得ることは困難であった. しかし個々の結晶片は観察視野内で等間隔に配列するCS面を含み, ほぼ均質な構造を有していた. またルチル構造を母体にした結晶学的シェア操作を基本にして, 高指数CS面の構造モデルを考察した結果, (5, 12, 7)
r CS面は直線状ではなく, むしろCS面に沿って折れ曲がった構造であることが示唆された.
抄録全体を表示