【目的】
近年,理学療法士に関連する諸資格(国家資格以外の公的資格や民間資格)の種類が増えている.社団法人新潟県理学療法士会(以下、新潟県士会)身分・保険部では,会員への情報提供のため,アンケート調査によりこれらの諸資格の取得に関する現状を明らかにした.
【方法】
対象は,平成22年8月の時点で新潟県士会会員として登録されていた1049名の理学療法士とした.アンケートの実施方法は,多肢選択と自由記載での回答形式のアンケート用紙を作成し,郵送法にて実施した.記名は自由とした.質問内容は,1)取得資格の種類 2)資格取得が役に立つ頻度 3)資格取得が役に立つ職場 4)今後取得を検討している資格,その他,計8項目とした.
【結果】
回答数は838名,回収率は79.9%であった.取得したことがある資格で顕著に多いのは
福祉住環境コーディネーター
(167名),ケアマネージャー(110名),三学会合同呼吸療法認定士(81名)であった.その他の各資格は10名未満であった.また,今後取得を検討している資格も同様の3つが顕著に多い結果となった.資格取得が時々以上の頻度で役に立った比率は三学会合同呼吸療法認定士が88.8%,ケアマネージャーが88.2%,
福祉住環境コーディネーター
が83.3%,であった.資格取得が役に立った職場の比率は
福祉住環境コーディネーター
では一般病院が50.4%,訪問リハビリが21.6%,介護保険施設入所が14.4%,通所関係が8.6%,その他が5.0%であった.ケアマネージャーでは一般病院が41.6%,介護保険施設入所が26.7%,訪問リハビリが15.8%,通所関係が6.9%,その他が8.9%であった.三学会合同呼吸療法認定士では一般病院が94.3%,訪問リハビリが5.7%であった.
【考察】
今回調査した資格で取得者が顕著に多かった3つの資格と今後の取得を検討しているが顕著に多かった3つの資格が同じものであり,今回調査した資格の中ではこの3つが現在会員に関心の高いものと考えられる.この3つの資格が役に立つ頻度はどれも「時々以上」が80%以上と高い比率であり, これらの資格取得は業務上ある程度役に立つという利点が考えられる.それらの利点は
福祉住環境コーディネーター
とケアマネージャーは医療保険と介護保険のどちらの施設においても活かされることが考えられ、三学会合同呼吸療法認定士は医療保険の施設で活かされると考えられる.
【まとめ】
今回の調査により理学療法士に関連した諸資格で会員が特に関心のある3つの資格が明らかとなり,それらが役に立った頻度や役に立った職場を明らかにすることが出来た.ご協力いただいた新潟県士会会員の皆様へ感謝いたします.
抄録全体を表示