連続水素化物発生/ICP-AESによる石炭及びフライアッシュ中のAs及びSeの定量について検討した.石炭試料は硝酸-過塩素酸で,フライアッシュ試料は硝酸-硫酸で分解し,臭化水素酸-臭素系の蒸留でAs,Seを共存成分から分離した後,水素化物発生装置に導入し定量した.この蒸留では,Sn,Sb,Geが共に留出するが,本研究で用いた試料中のこれら5元素の濃度範囲内では定量を妨害しなかった.又,As及びSeは留出液中でそれぞれ5価,4価で存在しているが,本法ではAs(V)の(III)への還元を行わず,そのまま定量した.本法により,NBS SRM 1632b及び1633aを分析したところ,添加したAs及びSeの回収率は98~104%で,分析結果は保証値と良く一致した.又,本法の分析精度は相対標準偏差で,Asが2.4~3.5%,Seが2.7~4.5%であった.
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