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クエリ検索: "秋本真利"
2件中 1-2の結果を表示しています
  • -多角的政策評価の試み-
    定松 淳
    日本評価研究
    2021年 21 巻 1 号 17-28
    発行日: 2021/03/31
    公開日: 2023/06/01
    ジャーナル フリー

     福島第一原子力発電所事故の後、東京電力だけではなく大手電力会社が原子力損害賠償費用を負担する仕組みが構築されたが、2016年後半、その一部を送電網の利用料に上積みして徴収できる制度が経済産業省(以下「経産省」)によって構想された。しかし自民党政務調査会において、電力会社の合理化努力によって上積み分を吸収させる方針が言明された。本稿で社会学的な機能分析を応用し、この政治的調整過程をより広い社会的文脈に位置づけ、その意味を捉え返した。分析の結果、原子力賠償政策の一部であるこの政策が電気料金政策のみならず、福島復興政策と結びついている側面が明らかになった。機能分析によって対象とする文脈を明示しながら、多面的な政策評価を行う可能性を示すことができたと考えられる。

  • 定松 淳
    環境社会学研究
    2018年 24 巻 166-180
    発行日: 2018/12/05
    公開日: 2020/12/09
    ジャーナル フリー

    福島第一原発事故以降,原子力損害賠償・廃炉支援機構が設立された。そこでは東京電力を倒産させず賠償を払わせ続けるとともに,他の原子力事業者も一般負担金という形で,東京電力の賠償費用支払いを支援する仕組みが構築された。これに対して2016年後半に政府内で,送電網の利用料である託送料金を通じて一般負担金の「過去分」を回収することが決定された。これはいわゆる新電力の利用者からも賠償費用を集めることになり,一般負担金の性格を変えるものである。本稿では,この決定がなされた政府および自民党での議論を分析することを通じて,「公共圏の豊富化」概念の再検討を行った。分析の結果,政府委員会では,大筋において,賛否両論が対置される議論にとどまっていたことが示された。自民党政務調査会での議論では,最終的に託送料金への過去分の「上乗せ」が回避され,旧一般電気事業者による送電網の「合理化による捻出」へと変更された。しかし,これは反対派の議論に説得されたというよりも,電気料金の値下げを避けようとしたものである。すなわち輿論(よろん)としての論理というよりも,世論(せろん)としての感情に応じたものであるといえる。それでも,民主主義社会における多元的な決定の実現としてこれを評価すべきであることを,本稿では主張した。公論の輿論的側面と世論的側面の区別に自覚的に,政策決定過程を分析する必要性が示唆された。

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