総人口における65歳以上の割合は増加しつつある。これに伴い歯科医療機関を訪れる高齢者の割合は高くなると考えられるが, 歯科医療機関に対する高齢者の来院動態に関する統計は見られない。そこで, 大阪歯科大学附属病院高齢者歯科へ平成9年9月17日から平成15年5月31日までの間に来院した新来患者および, 予約外再来患者 (初診医対応患者) について臨床統計的観察を行い, 以下の結果を得た。なお, 高齢者歯科が担当しているのは, 大阪歯科大学附属病院に来院した患者のなかで, 新来時に一般歯科診療を希望する70歳以上の患者, 上下顎無歯顎患者および当科医員への紹介患者である。
調査期間中, 初診医対応患者は6, 057人で男性2, 501人, 女性3, 556人であった。平成14年12月を中心とする1年間の1日あたりの平均患者数は6.0人であり, 平成10年3月を中心とする1年間の1日あたりの平均患者数である3.1人の約2倍であった。また, 義歯の修理もしくは調整を希望して来院した患者数は調査期間中, 急激に増加していた。気温, 天気および不快指数は患者数にあまり影響しなかった。
以上のことから, 本医院に来院した初診医対応患者の総数は増加し続けている。したがって, 医療従事者は高齢患者への対応を十分に備えてなければならないと考えられる。
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