1978年から3年間にわたって, 水稲早期栽培の
稲刈り
あと地に, ダイズ, ソバならびにイタリアンライグラスをそれぞれ適期に作付けし, 後作物の種類のちがいが, 本田の多年生雑草発生に及ぼす影響について検討した。また,
稲刈り
あと地のダイズ作を対象にして, 作畦方法による影響についても検討した。
1) 後作物作付け後, 初年次の本田では, 不耕起放任区にくらべ各後作物区ともホタルイとミズガヤツリの発生が減少した。ホタルイの減少程度は, 作付時期の早い後作物区ほど大きかった。
2) 3年間,
稲刈り
あと地に後作物を作付けした結果, 後作物の種類によって, 本田の多年生雑草発生に差異が認められ, その差異は前報
8) の耕うん時期による場合と類似した。
3) 後作物区における本田の多年生雑草発生が, 耕うんのみを行った場合と異なったのは, ミズガヤツリとマツバイの減少程度が著しいことであった。これは, 後作物の作付けによって畦地表面の日射量が減少し, さらに畦溝周辺部の除草によって雑草の再生育が抑制されたため, 繁殖器官の形成量が減少したことによるものと考えられる。
4) 後作ダイズの作畦方法による影響は, 高畦区では平畦区よりミズガヤツリ・ウリカワがともに減少する結果となってあらわれた。これは, 高畦区の土壌水分が平畦区にくらべ低下したことによって, 塊茎の形成を抑制するとともに, 既存塊茎の死滅を助長したためと考えられる。
5) 暖地の水稲早期栽培田では,
稲刈り
あと地に作付けする作物の種類やその場合の作畦方法が, 本田の多年生雑草群落の遷移に大きく影響した。暖地における水田雑草防除の合理化を図るためには, これらの耕種的防除手段が積極的に推進されなければならない。
抄録全体を表示