1) 新しいナフトキノン系植物生長調節物質である2-bezimidoyl-3-hydroxy-1,4-naphthoquinone (bendroquinone) のトマトに対する部分及び全体散布を行って, 作用上の特性を明らかにした.
2) 促成ビニルハウス裁培トマトに対する花房周辺(部分) 散布の結果, bendroquinone 100~300ppmは4 CPA 15ppmに比べ, 1株当たりの総果実収量が多かった. Bendroquinone 処理により, 果実収量は第2及び第3花房において著しく優れた. 茎葉に対する薬害は, bendroquinone 100ppmでほとんど認められず, 200~300ppmにおいて1部縮葉を生じた. 4 CPA 15ppmは激しい薬害を生じた.
3) Bendroquinone 25~100ppmの毎週全体, 隔週全体散布及び50~100ppmの定植10日前と各段花房開花時期の全体散布では, いずれも果実収量は第1花房で劣ったが, 第1~第3花房を通じてみると, HCPA 200ppm又は4 CPA 30ppmの花房散布とほぼ同程度の総果実収量を得た.
4) 第1花房に対してHCPA 200ppm又は4 CPA 30ppmを花房散布した後, 第2及び第3花房の開花時期に bendroquinone 50~100ppmを全体散布すると, 第1花房の果実収量は増加し, しかも第1~第3花房を通じての果実収量も, HCPA 200ppm及び4 CPA 30ppmの単独花房散布より優れる効果を認めた.
5) 無支柱加工用トマトに対して, 第1側枝の第1及び第2花房開花期に bendroquinone 200及び300ppmを全体散布すると, 果実の収穫時期を調節することができた. また, 第1~第3側枝の各伸長期における200及び400ppmの全体散布は, 主茎の伸長並びに主茎上の果実に対して著しい影響を与えることはなかった. しかし, 第1, 第2及び第3側枝においては, それぞれ散布処理後3~5週間伸長を抑制し, その後は逆に促進した. これに伴って, 各側枝上の花らい数, 花数及び着果数が変動した. 特に, 収穫約1か月前に全体散布すると果実収量が増加する傾向を認めた.
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