1990年代以降, 中国は廉価な社会インフラ, 安価で優秀な労働力, 将来有望な国内市場を武器に急成長を果たしてきた。こうした中国の好条件に惹かれて多くの企業が中国への生産シフトを加速させている。こうしたなか, 国内では産業
空洞化
が本格的に危惧されるようになってきた。産業
空洞化
への対応は, 企業戦略と国家政策の両面からの検討が不可欠な問題である。しかし,
空洞化
への対応策と企業戦略との関係についてはこれまでに十分な議論がなされてこなかった。本稿の目的は, 電気機械メーカーの戦略について検討するとともに, そうしたメーカーの企業戦略が
空洞化
の回避につながった事例について調査することで, 企業の私的便益 (企業益) と社会的便益 (国益) の間に接点を見出すことにある。
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