第一線の医療機関において剖検で死因を確定しえた
突然死
症例を検討した.
8年間に解剖された, 1) 致命的な発症を目撃しているもの, または, 病院に搬送され加療される, もしくは病院到着時既に死亡している例で発症から死亡までが24時間以内のもの, 2) 死亡後発見されたものであるが, その状況から急激な発症が推測されるもの, の46例を対象にした.
年齢的には, 26~85歳 (平均66.6歳) であり, 年代別には70歳代がもっとも多く, ついで60, 80歳代であった. 男女別には, 男31女15であった.
月別にみても季節別にみても, 特に寒い時期に多いという傾向はみられなかった. 発症から死亡までの時間を調べると, 発症後5分以内の瞬間死が24例 (54.3%) と多かった. 心筋梗塞22例中16例 (72.7%) は発症から3時間以内に死亡しており, 中でも瞬間死は11例 (50%) と多かった.
死因別では, 心筋梗塞がもっとも多く22例であり, 急性心筋梗塞が20例であり, 陳旧性心筋梗塞を伴わないもの7例, 伴うものは13例であった. 明らかな急性心筋梗塞を欠く陳旧性心筋梗塞は2例であった. その他の死因としては, 拡張型心筋症1, サルコイドーシス1, アミロイドーシス2, 心弁膜症2, 大動脈瘤破裂6, 解離性大動脈瘤2, 肺塞栓症7, 肺高血圧症1, 絞扼性イレウス1, ポックリ病1であった. このように,
突然死
症例中36例 (78.2%) は心・血管系の循環器疾患であり, 呼吸器系疾患は全体の17.4%を占めた. 必ずしも発症が強い運動, 労働に関係しているとはいえなかったが, 肺塞栓症7例中4例は術後歩行中に発症し, その他の2例も脱水, 糖尿病性腎症を有し, 7例中6例は肺塞栓症の危険因子を有していた.
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