我々は低音障害型感音難聴に対しイソソルビド, 昇圧剤, ステロイドなどで治療を行ってきたが, 今までの症例の治療成績, 臨床経過を検討することにより低音障害型感音難聴の特徴, 病因について検討した。 その結果, 低音障害型感音難聴は単発型と再発型に大きく分けられた。 単発型では自然治癒傾向が認められ, その治療効果は明らかにはできなかったが, 各治療群の間で予後の差はみられなかった。 再発型ではメニエール病に移行する群, めまいを伴わない内リンパ水腫と考えられる群, ステロイドに反応を示す群, 低血圧が原因と思われる群, さらにいずれの治療にも反応を示さない群が存在し, 低音障害を示す感音難聴には様々な原因による疾患が含まれていることが示唆された。
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