銀行窓販による変額年金市場は,規制緩和により急速に拡大し,リーマンショックに始まる金融危機のなかで消滅していった。この間の主要なプレイヤーの活動および業績の推移を分析することで,市場が拡大,縮小,消滅するまでの経緯をたどる。
変額年金販売の成功は,解禁直後に販売者に専用商品を提供するビジネスモデルを構築したこと,大幅な市場拡大は,ペイオフの解禁時に元本保証付変額年金を開発したことにあったと考えられる。
一方,市場の急激な縮小は,消費者が購入を控えたのではなく保険会社が販売を自制したためと考えられる。この間,商品の特性は大きく変わることなく,変わったのは販売する保険会社であった。
金融危機のなかで,銀行はリスクのほとんど無い元本保証付変額年金の販売継続を望んだと思われるが,一方で健全性が悪化した保険会社は,銀行との関係において,商品を改訂したり販売を抑制したりするのではなく,販売を停止することを選択した。これが変額年金市場消滅の要因であると考える。
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