高齢者の一番の特徴は個人差の大きさ・多様性である. 高齢者であっても糖尿病の本質は青壮年者と異ならない. しかし, 高齢者に特有の身体的, 精神的, 社会的多様性が故に高齢者
糖尿病の治療
には考慮すべき要点が多々ある. 糖尿病の重症度・罹病期間・合併症の進行度などが千差万別である高齢者
糖尿病の治療
には, 平均的・画一的治療ではなく, 個々の症例に応じたテーラーメイド医療が求められる. 高齢者
糖尿病の治療
に際しては, (1) 過去の検証 (病歴・治療歴), (2) 現在の把握 (病状), そして, これらに基づいた (3) 未来の予測 (予後推定・治療目標の設定), という3つのチェックポイントを確認した上で, 身体面のみならず精神面・社会面をも含めて予後を見据えた全人的治療を展開する必要がある. 今後, 合併症の発症・進展や治療薬の反応性に関する体質情報が整備されれば, 体質面での多様性も加味したテーラーメイド医療の発展も期待される.
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