九重, 阿蘇山系およびその周辺地域におけるミヤマキリシマの花器の形態と花弁内フラボノール構成の変異を調査した.九重山系の個体群は純粋なミヤマキリシマの形質を備えており, これらの分布には強風, 強酸性土壌および火山性ガスの噴出等が影響しているものと考えられた.由布岳および阿蘇山系のミヤマキリシマもほぼ純粋な形質を示した.この理由として, 由布岳では夏緑林で, また, 阿蘇山系では平野部によって, ミヤマキリシマと他の野生ツツジ類の分布が分断されているためと思われた.万年山の個体群は花色の変異に富み, 花弁のブロッチも明瞭な個体が多かった.また, 花弁内フラボノール構成も変異に富んでいた.このことから, これらはミヤマキリシマとヤマツツジとの自然交雑集団であると推察された.
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