従来,国家的統制政策の所産と考えられてきた昭和初期から第二次世界大戦中の交通事業者の統合問題を,大手私鉄資本による地域交通体系の再
編成
という視点から再考して,その空間構造を検討した.事例は三重県における近鉄資本による事業者統合に求めた.
その結果,大正期まで基本的に国鉄駅起点の路線形態をとり国鉄線中心の交通体系下にあった局地
鉄道
線は,大手私鉄資本下に統合されてゆくなかで,大手私鉄幹線中心の交通体系に再
編成
されてゆく過程を跡づけることができた.そうした地域交通体系の再
編成
構想の実施にあたっては,戦時交通統制という国家政策の利用が不可欠であった.
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