長期に渡って透析治療を続ける患者が増加しており, こうした患者にとって自己管理の占める部分は大きなものである. 今回, 我々は透析患者の教育指導内容の理解度および自己評価の調査を行い, 年齢および透析経験年数の間にどのような相違があるか検討した.
調査は, 1990年4月から1990年8月の間に当院で維持透析をしている外来患者で, その導入が1972年1月より1990年5月に渡り最低3か月以上の血液透析を経験した72名を対象とした. 方法は, 教育指導に関連する項目を8項目に分け面接による理解度テストおよび自己評価アンケートを行った. その結果, 1. 年齢と理解度の間には負の相関がみられた. 2. 透析経験年数と理解度の間には正の相関がみられたが, 食事の項目では, 経験年数1年未満の患者が経験年数の長い患者より良い成績であった. 3. 食事の項目では理解度と自己評価に大きな相違があった. 自己管理指導は高齢化による理解度の低下, 経験年数の短さによる理解の不足, また, 経験によっても学習効果のあがらない食事の項目など, 個人別, 項目別に分析し教育プログラムを作成する必要があると思われた.
抄録全体を表示