1964年より1978年の間に腹腔鏡により確定診断し,生存・死亡が確認された
肝硬変
181例を被験対象として,初回の腹腔鏡所見と累積生存率とを対比検討した。(1)
肝硬変
181例の1年,3年,5年,10年,14年生存率は,それぞれ90%,69%,55%,32%,25%を示した.(2)右葉腫大型の5年,10年生存率は68%,60%の高値を示したのに対し,右葉萎縮型では36%,13%の有意な低値を示した(P<0.01)。(3)小結節型の5年,10年生存率は70%,49%の高値を示したのに対し,中・大結節型では39%,19%の有意な低値を示した(P<0.01).(4)狭間質型の5年生存率は63%の高値を示したのに対し,混・広間質型では44%の有意な低値を示した(P<0.05).(5)高度な脾腫大例の5年生存率は,21%の極めて低値を示した.(6)右葉萎縮型,大結節型,広間質型のいつれかを呈する
肝硬変
では,5年以内に肝不全死をきたす頻度がかなり高率であった.以上,腹腔鏡検査による肝の表面形態像の観察は,
肝硬変
の予後判定に対し極めて有用な指標を与えることが示唆された.
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