癌性
胸膜
炎の治療に際し, 抗癌剤の胸腔内投与がしばしば行われるが, 抗腫瘍効果のみならず強力な
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癒着作用が要求される. そこで種々抗癌剤の胸腔内投与時の
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癒着作用をラットを用いて肉眼的, 組織学的に検討した. その結果pirarubicin, adriamycin, epirubicinは, それぞれ2mg/kg, 1mg/kg, 2mg/kg以上の投与量で, 2~4週後には臓壁側
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は強度に癒着しており, 中皮細胞の破壊, fibrin析出が著明であった. cisplatin, carboplatinの白金化合物も, それぞれ4mg/kg, 20mg/kgの投与量で3~4週後には比較的強度の
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癒着を認めた. etoposideは, 16mg/kg投与でも,
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の組織学的変化は認めるが, 肉眼的な癒着はほとんど認めないか, 認めても極めて軽度であった. 以上の検討から, pirarubicin, adriamycin, epirubicinのanthracycline系薬剤は, cisplatin, carboplatinの白金化合物やetoposideよりも, 強力な
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癒着作用を有すると考えられた.
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