近年の機械学習の発展を受けて、人工衛星の異常検知の分野でも様々な手法が提案されてきた。我々はこれらの手法を統合した小型衛星向けの状態監視・異常診断システムを開発中である。本論文では開発への取り組みと、機械学習を応用した異常診断システム実用化することで、人工衛星の分野で異常診断の方法がどのように変化していくかについて述べる。
途上国向けのものづくりでは、専門知識を持った設計者が現地のニーズを仮定してアイディアを出し、設計が行われてきた。本研究では、プロトタイピングを通じて現地の人々が個人の要求に応じて人工物を設計することができるプラットフォームを構築する。これにより、現地のニーズを初めから特定しなくとも、最終的に現地のニーズを満たすものづくりが可能な枠組みを提案する。
オントロジー工学と信頼性工学を基にした人工衛星の故障解析研究である。オントロジーを用いた人工衛星の機器間の繋がりや伝達物の流れの記述と機器の故障事象の記述を組み合わせた故障解析手法を提案する。
惑星探査を目的とした群ローバーシステムの構成を、シミュレーションにより局所最適化し求める。その後最適解と現在の既存のミッションとの比較検討を行うとともに、群ローバーシステムの定性的、定量的な性質を示す。
小惑星探査には画像系列からの小惑星形状と相対運動についての推定が必要となるが,はやぶさプロジェクトにおいてこれは手動で行われた.一方で近年画像処理技術の進歩により画像間の点の対応の推定,それを用いた形状とカメラ位置を推定するSFMと呼ばれる技術や,ロボティクスにおいて自己位置と地図を同時に推定する方法が確立されている.本研究では,これらの手法を踏まえ,この問題を自動化する方法を提案する.
動的モード分解(dynamic mode decomposition、DMD)は非線形力学系から得られた時系列データを解析する方法として注目されている。本研究では、DMDを確率的・ベイズ的に拡張し、観測ノイズの考慮、事後分布推論、自動モード数選択、混合モデル拡張などの適用例を示す。
本研究では,「ロバスト方策を用いた前進探索木」というベイジアン強化学習の近似問題の枠組みを提案する.この枠組みは,物理システム等の,不確定性が存在する実環境下でエージェントが安全に探索しつつタスクを達成する状況に対して設計されている.この枠組みは,安全でかつロバスト制御より優れた探索性能,実装可能な計算量,という利点を持つ.この枠組みを数値例題に適用し,実現される挙動の性質と有効性を議論する.
Markov logic networkは一階述語論理の論理式により構成される知識ベースをマルコフ確率場に変換し、知識ベースに基づく確率的な推論を行う手法である。本研究ではより漠然とした概念を含む知識に対応するため、このモデルを潜在変数モデルと組み合わせることにより各述語の取る真理値をあらかじめ既知と仮定せず、連続的な変数から確率的に推論できるように拡張できないかを検討した。
従来のデバイスオントロジーにおいては、デバイスと対象物が明確に分離されており、デバイスは対象物に作用するのみであった。 本研究では、人工衛星のモデル化において、デバイスが自身や他のデバイスに作用を及ぼすことを許容する必要があることを示し、デバイスオントロジーの拡張を試みた。 また、拡張したオントロジーに基づいたモデル構築ツールを作成し、例として人工衛星の姿勢制御システムのモデルを構築した。
屋内用自律小型ロボットの運用では限られた搭載センサからいかに自己位置情報を得るかが課題となる。本研究では通常無線通信に用いるWi-fiモジュールを位置推定センサとしても活用する可能性を議論する。環境中に配置されたアクセスポイントの無線強度データを自己組織化写像およびその拡張版である半教師つき学習手法で質的な実空間情報に還元する手法を提唱し、その有効性をシミュレーションおよび実機実験で検証する。
小型飛行ロボットの自律飛行のためには自己位置の推定が必要である。マーカをカメラで認識することで位置推定が可能となるが、移動はマーカが設置されている範囲に限定されてしまう。本研究では自律的にマーカを天井に設置していくことで、自ら活動範囲を広げていく飛行ロボットを提案する。マーカを設置する位置の状況に応じた判断には強化学習を用いた事前学習結果を利用する。
宇宙機は非修理系システムであり、安全な運用のためには状態を監視することが欠かせない。ところが、運用者にとって日々の綿密な監視はコストが高いうえ、誤りや見逃しのおそれもある。そこで、機械学習によって運用中に得られるデータのモデルを学習し、自動的な状態監視などの運用支援に役立てる。本研究では、高次元なセンサデータや運用者の所見をテキスト等で記録した運用記録などのためのモデルを学習して運用支援に用いる。
近年、生活をサポートする便利なシステムが増えている。しかし、人間がそのようなシステム頼ることで、行動決定の際の思考プロセスを省略してしまう可能性がある。そこで、人間とシステムとの知識共有及び人間への思考支援が必要だと考える。本研究では、部屋の片付けをテーマとして、片付けプロセスに関する知識共有及び思考支援を行う。主成分分析を用いて物体配置に意味付をし、これを介して知識共有及び思考支援を実現する。
小型飛行ロボットは、地上状態によらず空間内を移動できるため、災害等の非常時における音声情報を含む情報収集に役立つことが期待されている。従来手法の多くは無線通信を介して、音声認識の処理を外部コンピュータに頼っており、非常時のように無線環境が不安定な状況では機能が困難であるという脆弱性がある。本研究では外部装置に頼ることなくオンボードで音声認識を完結させる手法を提案し、実装したプロトタイプを紹介する。
本研究では、小型無人航空機(UAV)を用いて、マニュアル操作なしに未知環境の探索を行う『自律型SLAM』の実現を目指す。 特徴点マッチによるSLAMシステムにその制約に合わせた行動則を適用し、実機実験を行った。結果、広い屋内ではロバストな自律探索を実現したが、未踏領域をくまなく調べるような高度な探索には至らなかった。従って本研究は、小型UAVを用いた自律型SLAMが実現可能なことを明らかにした。
無人航空機(UAV)は近年様々な環境下における運用法が考案されている。また安全性の要求から衝突回避に関する研究も行われている。しかし衝突回避が難しい状況への対応や大きな力を与えたいといった要求にこたえるには、衝突動作を実際に行った場合のUAVの挙動についての知見が重要となる。本研究ではクアッドローター型UAVが衝突により壁面スイッチを押すという動作について、制御法を提唱しシミュレーションを行う。
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