4-アミノアゾベンゼン誘導体(非イオン染料7種,酸性染料1種)とβ-シクロデキストリン(βCD)との水溶液中における相互作用を分光法で検討した。反応によるスペクトル変化,染料構造による熱力学関数値の変化などから,染料のアミノ基をもたないフェニル核部分がβCDの空洞内に包接され,1:1型のコンプレックスが形成されると推定された。
コンプレックスは染着せず,遊離の染料のみが基質に吸着,拡散するとすると,平衡でコンプレック濃度βCD濃度の有限浴ではβCDを添加したときの非イオン染料の平衡染着率A..は次式で表わされる。
ここで,Kは分配係数,Lは浴比,bはβCDの初濃度,K'はコンプレックスの形成定数である。染色速度の変化は上式のAを用いて理論的に予測することができる。ポリアミド~非イオン染料~βCDの染色系ではA,染色速度とも理論値と実験値はよく一致した。
βCDは上記の非イオン染料に対して染料親和性緩染剤として作用した。βCDは親和力が大きく,繊維内拡散係数の小さな染料に対して良好な緩染効果を示した。
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