荒川 和久, 大滝 章男, 石川 進, 高橋 徹, 長谷川 豊, 小谷野 哲也, 山岸 敏治, 荻野 隆史, 大木 聡, 森下 靖雄
日本心臓血管外科学会雑誌
1997年
26 巻
3 号
193-196
発行日: 1997/05/15
公開日: 2009/04/28
ジャーナル
フリー
Fallot 四徴症 (TOF) 根治術後22年と18年目の長期遠隔期におのおの遺残病変と慢性期合併症に対して再手術を要した2例を経験した. 症例は36歳の男性と23歳の女性で, おのおの15歳と4歳時に右室流出路異常筋束切除, 右室流出路直接閉鎖および心室中隔欠損 (VSD) パッチ閉鎖の根治術を受けた. 前者は, 根治術22年目に感染性心内膜炎で発症し, 肺動脈狭窄および大動脈弁閉鎖不全の診断で, 右室流出路異常筋束切除, 流出路パッチ形成および大動脈弁置換術を受けた. 後者では, 根治術18年目に肺動脈狭窄およびVSD遺残の診断で, 右室流出路異常筋束切除, 流出路パッチ形成およびVSD直接閉鎖術の再手術が行われた. 両症例とも術後経過は良好で, 根治術後の遺残病変に対しては, 早期の積極的な外科治療を考慮すべきである.
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日本静脈経腸栄養学会雑誌
2018年
33 巻
1 号
SUP1-SUP6
発行日: 2018年
公開日: 2018/04/20
ジャーナル
フリー
小林 克巳, 小川 哲史, 安東 立正, 富沢 直樹, 田中 俊行, 荒川 和久, 須藤 雄仁, 五十嵐 隆通, 荻野 美里, 須納瀬 豊, 竹吉 泉
北関東医学
2012年
62 巻
4 号
415-418
発行日: 2012/11/01
公開日: 2012/11/21
ジャーナル
フリー
59歳男性. 4日前からの腹痛で近医を受診した. 臍部左側に圧痛と腫瘤を認め, 腹直筋膿瘍を疑い, 同日当院に紹介された. 前医CTでは左腹直筋直下に8 × 5 cm大の多房性嚢胞性腫瘤を認め, その内部に高輝度の線状影を認めた. 膿瘍腔と腸管壁に連続性なかったが, 形態からは魚骨穿通による膿瘍と考え, 緊急開腹手術を行った. 開腹時, 左腹直筋後鞘と腹膜は膿瘍のため損傷し, 腹腔内と交通し膿瘍腔を形成していた. この膿瘍腔内から約4 cmの魚骨を認めた. 更に腹腔内で膿瘍を被覆し一塊となった大網が腹膜に癒着していた. 小腸及び観察可能範囲の結腸を検索したが穿孔部を認めなかった. 術後本人から発症数日前に焼鮭を食べたことを聴取した. 術後経過は全身状態良好であったが, 創感染を合併したため術後21日で退院した.
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北関東医学
2003年
53 巻
3 号
331-333
発行日: 2003/08/01
公開日: 2009/10/21
ジャーナル
フリー
深江 政秀, 大石 純, 乗富 智明, 山下 裕一, 長谷川 傑
日本腹部救急医学会雑誌
2018年
38 巻
1 号
023-028
発行日: 2018/01/31
公開日: 2018/09/21
ジャーナル
フリー
[緒言]CTの性能は向上しているが,腸閉塞の治療成績は向上していない。[目的]腸閉塞の診療における造影CTの読影法を検討した。[方法]2011年4月から2015年10月の4年7ヵ月間に入院した腸閉塞162例のうちで造影CTが行われた115例を後ろ向きに検討した。[結果]腸管虚血群39例と腸管非虚血群76例を比較した。腸管虚血の多変量解析では腸管壁造影低下(Odds比4.49,P<0.01)が有意であった。有用性が期待された項目は腹膜刺激症状(Odds比14.9,P=0.05),BE(Odds比30.5,P=0.07),腸間膜浮腫(Odds比0.01,P=0.07)であった。[結語]腸管虚血の診断には腸管壁造影低下がもっとも有用である。腸管虚血の否定には腸間膜浮腫が有用と思われる。
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北関東医学
2002年
52 巻
5 号
411-417
発行日: 2002/09/01
公開日: 2009/10/21
ジャーナル
フリー
荻野 亮吾
生協総研レポート
2024年
101 巻
50-59
発行日: 2024年
公開日: 2024/03/29
ジャーナル
認証あり
小川 博臣, 川手 進, 須納瀬 豊, 吉成 大介, 荒川 和久, 戸塚 統, 戸谷 裕之, 佐藤 弘晃, 平井 圭太郎, 竹吉 泉
北関東医学
2012年
62 巻
2 号
163-167
発行日: 2012/05/01
公開日: 2012/06/22
ジャーナル
フリー
症例は86歳の女性. 検診の上部消化管内視鏡検査で噴門から体下部にかけての胃癌と診断され, 手術を施行した. 開腹すると十二指腸水平脚は後腹膜に固定されておらず, トライツ靱帯を形成していなかった. 腹腔内で小腸が右側, 結腸が左側に偏在していたため腸回転異常症と診断した. Ladd靱帯の形成も認めなかった. 胃全摘術を施行してRoux-en Y再建を行い, 腸回転異常に対しての手術は行わなかった. 成人で発見される腸回転異常症は比較的まれであり, 消化管悪性腫瘍の手術の際に偶然発見されることもある. 画像検査の発達した現在では, 従来の造影検査以外にも診断可能な方法があるため, 詳細な術前画像所見の検討が必要であった. また, 腸回転異常症に対して術式を付加するかどうかは一定の見解を得ておらず, 個々の腹腔内所見により検討されるべきと考えられた.
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酒井 久宗, 緒方 俊郎, 高木 克明, 安永 昌史, 奥田 康司, 木下 壽文, 田中 啓之
胆道
2014年
28 巻
2 号
242-248
発行日: 2014/05/31
公開日: 2014/06/10
ジャーナル
フリー
症例は70歳,男性.高血圧にて前医経過観察中,肝胆道系酵素高値を指摘,精査にて中下部胆管癌と診断され手術目的に当科入院となった.術前画像診断では,中下部胆管に腫瘤影を認め,肝腸間膜動脈幹から分岐する総肝動脈が上腸間膜静脈の背側から膵鈎部に至り,膵頭部膵実質を貫通していた.手術では,膵実質を剥離,総肝動脈を温存し膵頭十二指腸切除施行した.膵頭部の手術においては,術前の画像診断で肝動脈分岐変異のみならず,その走行形態の把握が重要であると考えられた.
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宇高 徹総, 松本 尚也, 山本 澄治, 浅野 博昭, 久保 雅俊, 黒川 浩典
日本腹部救急医学会雑誌
2019年
39 巻
3 号
503-508
発行日: 2019/03/31
公開日: 2020/04/11
ジャーナル
フリー
絞扼性腸閉塞は迅速かつ正確な診断が重要である。今回,腸閉塞手術例において絞扼性腸閉塞を早期診断するための因子を検討した。手術を施行して腸閉塞と診断された107例を対象として術中および病理検査所見から腸管虚血群と腸管非虚血群に分類し,臨床所見,血液生化学検査・動脈血ガス分析,腹部造影CT検査所見を比較・検討した。単変量解析では腹膜刺激症状,白血球数の異常,乳酸デヒドロゲナーゼの上昇,腹水,腸管血管の異常走行(収束,乱れ,whirl sign),腸間膜濃度の上昇,closed loop obstruction,腸管壁の造影不良の頻度が腸管虚血群で有意に高かった。多変量解析ではclosed loop obstruction(P<0.001)が独立した腸管虚血の因子となった。絞扼性腸閉塞を早期診断するためには腹膜刺激症状,白血球数の異常,乳酸デヒドロゲナーゼの上昇,腹水,腸間膜濃度の上昇,closed loop obstructionに注目して評価することが重要である。
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小林 克巳, 荒川 和久, 富澤 直樹, 安東 立正, 飯塚 賢一, 新井 弘隆, 高山 尚, 阿部 毅彦, 須納瀬 豊, 竹吉 泉
日本消化器内視鏡学会雑誌
2015年
57 巻
2 号
165-169
発行日: 2015年
公開日: 2015/03/01
ジャーナル
フリー
症例は43歳の日本在住16年になるパキスタン国籍の男性.腹痛と発熱で当院を受診した.体温39.4℃.血液生化学所見でWBC,CRPの上昇,肝・胆管系酵素の上昇を認めた.CTで肝に多発膿瘍を認めた.抗生剤で治療を開始したが改善なく,第3病日に膿瘍を穿刺した.培養結果は陰性で,アメーバも検出しなかった.ドレナージ後は解熱し,血液所見も正常化した.大腸内視鏡検査で,右側結腸に小潰瘍が多発していた.このとき洗浄液から,ランブル鞭毛虫を検出したため,メトロニダゾールの内服を開始した.退院後のCTでは膿瘍の縮小を認め,大腸内視鏡検査では盲腸の潰瘍性病変は消失し,ランブル鞭毛虫は検出しなかった.
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竹吉 泉, 吉成 大介, 戸塚 統, 戸谷 裕之, 小川 博臣, 平井 圭太郎, 高橋 憲史, 田中 和美, 清水 尚, 荒川 和久, 須納瀬 豊, 川手 進
北関東医学
2011年
61 巻
1 号
31-35
発行日: 2011/02/01
公開日: 2011/03/03
ジャーナル
フリー
【目 的】 腹腔鏡補助下胃切除では, 術中に病変の局在を診断し, 適切な術式を決定することが困難である. そこで術前3D-CTの有用性について検討した.
【方 法】 内視鏡を用い病変にクリップで印を付けた後, 動脈相と門脈相のCTを0.5mm間隔で撮影し, 3D-CTを作成した.
【結 果】 術前の3D-CTで胃周囲血管との位置関係まで含めた胃癌の局在が描出できた. 5 mm程度以上のリンパ節が描出可能であった. また, 術式の決定 (幽門側胃切除か幽門保存胃切除か) に有用で, 症例によっては胃切除の際の切離線決定に有用であった.
【結 語】 3D-CTを用いれば至適な胃切除範囲・リンパ節郭清範囲を決定できるので, より安全かつ過不足のない適切な手術が行える可能性がある.
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堤 裕史, 竹吉 泉, 富沢 直樹, 須納瀬 豊, 川手 進, 吉成 大介, 浜田 邦弘, 荒川 和久, 棚橋 美文, 新井 正明, 大矢 敏裕, 森下 靖雄
北関東医学
2006年
56 巻
4 号
343-346
発行日: 2006年
公開日: 2006/12/26
ジャーナル
フリー
meshを用いたtension free repair法で行った鼠径ヘルニア術後75歳の男性患者の再発に対し, 腹腔鏡補助下に腹腔内の状態を観察しながら, 前方からのアプローチでヘルニア修復術を施行し, meshを除去することなくヘルニア門に新たなmesh plugを挿入して修復した. 腹腔鏡で観察すると, tension free repair後の再発ソケイヘルニアでも, ヘルニア嚢を容易かつ確実に識別することが可能である. そのため, ソケイ管内の不必要な剥離を行わず, ヘルニア門にmesh plugを挿入することで少ない侵襲での確実な手術が可能である. 術後4年を経過した現在も再再発はない.
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日本静脈経腸栄養学会雑誌
2016年
31 巻
4 号
SUP141-SUP144
発行日: 2016年
公開日: 2016/08/20
ジャーナル
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中村 豪, 大内田 次郎, 久保 進祐, 川崎 裕平, 村中 貴浩
日本腹部救急医学会雑誌
2019年
39 巻
3 号
601-604
発行日: 2019/03/31
公開日: 2020/04/11
ジャーナル
フリー
症例は34歳男性。自宅で意識を消失し階段を数段滑り落ちて救急搬送された。来院時ショック状態であり,造影CT検査で腹腔動脈解離と脾動脈近位部の動脈瘤破裂による腹腔内大量出血を認め,大動脈遮断バルン(intra-aortic balloon occlusion:以下,IABO)を挿入し開腹した。IABOによる術中の出血制御が有効であり,脾動脈出血部位の中枢側と末梢測の脾動脈をそれぞれ結紮し止血した。手術時間2時間22分,大動脈遮断時間55分,出血量8,652mLだったが,術後合併症なく15日目に軽快退院した。本例の受傷機転は内臓動脈損傷をきたすほどの高エネルギーではなく,画像所見で大動脈や他の内臓動脈に異常を認めず,本例は脾動脈瘤が突然破裂した孤立性特発性腹腔動脈解離と考えられた。まれな病態であり,本例のような動脈性腹腔内出血に対する術中の止血制御には術前のIABO挿入が非常に有効だった。
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八木 直樹, 荒川 和久, 富沢 直樹, 黒崎 亮, 岡田 拓久, 本多 良哉
日本腹部救急医学会雑誌
2018年
38 巻
3 号
521-525
発行日: 2018/03/31
公開日: 2018/12/19
ジャーナル
フリー
成人腸回転異常症にはさまざまな術式が報告されている。今回,2例の成人腸回転異常症に対して固定術を施行した。症例1は43歳,男性。突然の腹痛で救急外来を受診し腸回転異常症に伴う中腸軸捻転と診断し手術を施行した。術中所見は,malrotation typeの腸回転異常症に伴う中腸軸捻転であり,捻転を解除して固定術を施行した。経過良好で術後10日目に退院した。症例2は73歳,男性。30年来の繰り返す腹痛があった。中腸軸捻転の診断となり手術を施行した。術中所見では,malrotation typeの腸回転異常症に伴う中腸軸捻転がみられ,手術は同様に固定術を施行した。経過良好で術後8日目に退院した。腸回転異常症に対する手術は術後の癒着性腸閉塞や内ヘルニアのリスクを考え,腸管固定は行わないほうがよいともされている。自験例は軸捻転再発が懸念され固定術を行い,良好な経過を得られたため若干の文献的考察を加えて報告する。
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荒川 和久, 小林 克巳, 黒崎 亮, 佐藤 弘晃, 富澤 直樹, 安東 立正
日本腹部救急医学会雑誌
2015年
35 巻
4 号
409-412
発行日: 2015/05/31
公開日: 2015/09/08
ジャーナル
フリー
手術により絞扼性イレウスと診断された103例を対象として,腸管壊死群と非壊死群とに分けて,臨床症状,血液検査,血液ガス分析,CT画像の項目で比較・検討した。単変量解析では術前SIRSの有無,白血球数,PaCO
2およびCT所見の腸間膜濃度の上昇,腸管壁浮腫,腸管の造影不良で有意差があり,多変量解析ではPaCO
2と腸間膜濃度の上昇で有意差を認めた。絞扼性イレウスは重篤な状態に陥る可能性のある疾患であり,そのリスクの高い腸管壊死症例を早期に診断し治療することは重要である。今回の検討で有意差のあった項目に注意しながら,症状および検査結果の解釈とCT画像の読影の精度を高くすることが重要である。
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