歯科用小照射野エックス線CTの実用機である3 DX Multi Image Micro CT®(3 DX)のコンピューター画像上で,歯の大きさを計測することを着想し,測定者間における計測値の再現性とその信頼性について検討した。試料は,抜去された上顎前歯部過剰埋伏歯1本とし,測定項目は,幅径および全長とした。3DX画像は,試料単体で撮影したもの(条件1)と,計測点に造影性を示す指標を貼布したもの(条件2)を用いた。計測は5名の歯科医師によって5回繰り返し,条件1の計測値について測定者間で分散分析を行い,再現性の検討を行った。さらに測定項目別に,変動係数を条件1,条件2およびノギス計測問で比較し,計測値の信頼性について検討した。その結果,条件1では測定者間に計測値の有意差は認められなかった。また,3DX画像上の幅径の計測での変動係数は,ノギス計測に対し,条件1と条件2ともに有意に大きかったが,条件1に比べ,条件2では小さくなる傾向が認められた。全長の計測で,条件1と条件2における変動係数は,ノギス計測に対し,有意な差は認められなかった。以上より,3DX画像において,歯の幅径と全長の計測の測定者間での再現性が示された。また,全長の計測では,ノギス計測と同様の信頼性が示された。一方,幅径の計測では計測を繰り返し行い,計測の信頼性を高める必要性が示唆された。
抄録全体を表示