微小発破を膀胱結石の破砕に応用するにあたり, 最も問題となる膀胱の副損傷について各種条件下において検討を加え, 安全に膀胱内で発破を行うための条件を明らかにした.
空気, 水, ゼリーの各媒質中において, 摘出成犬膀胱片に対し種々の距離より5mgアジ化鉛爆薬の微小発破を行い, 膀胱の障害度と若干の膀胱片中の鉛の量を調べ, 以下の結果をえた.
1) 空中よりも水中やゼリー中で発破を行つた方が, 障害の程度もはるかに軽く, 水中では1.0cm, ゼリー中では0.75cm, 爆
薬室
を膀胱壁より離せば全く障害はみられなかつた. 2) 膀胱片に沈着した鉛の量は, 膀胱の障害度とよく相関していた. 3) 微小発破による組織障害の要因としては, 空中では衝撃波, 生成ガスおよび高熱が, 水中およびゼリー中では主に生成ガスが考えられた.
これらの結果より, 微小発破を膀胱内で行うに際しては, 媒質としては水あるいはゼリーを用い, さらに爆
薬室
を膀胱粘膜より, 水中では1.0cm以上, ゼリー中では0.75cm以上離すことが, 生体の安全を確保するためり必須の条件であると考えられた.
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