目的 気候変動やエネルギー需給問題は喫緊の課題であり、国を挙げた省エネの取り組みが求められている。我々はこれまでに、食生活に関連した省エネ教育を行うことで,意識や行動に変容効果が得られることを明らかにしてきた。本研究では、高校生と大学生を対象に食生活に関する省エネ教育を実施し、発達段階に応じた情報提供及び今後の教育のあり方について検討することとした。
方法 対象者は,東京家政大学・家庭科教職課程必修科目「食教育の研究」の平成26年度履修生54名(大学3年生)と、藤女子高等学校普通科62名(高校2年生)とし、食生活に関する省エネ教育前後に環境問題への関心度や省エネ行動実践度などに関わるアンケート調査を行い、両グループの意識や行動の変容効果を比較検討した。
結果 教育前のアンケートでは、「環境問題への関心あり」と大学生の67%,高校生の48%が回答しており,それぞれ、「省エネ行動実践あり」と答えた割合とほぼ同じになった。このことから環境問題への関心を深めることが省エネ行動促進に繋がることが示唆された。さらに、教育後の省エネ行動への意欲は、高校生・大学生共に高まることが分かった。しかし大学生グループでは行動変容に至っているのに比べて、高校生グループでは意識変容にとどまっていた。高校生は主体的に食生活に関わっていない現状を鑑み、実生活の中で実践可能な行動と組み合わせて教育を行うことの大切さが示唆された。
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