近代以前の西洋絵画においては, 網膜像的に描かれた絵画が主流であったのに対し, 近代以降では抽象的な絵画が描かれるようになった.この変化の要因として, 近代の画家たちによる描くことによる見ること, すなわち視覚についての研究が挙げられる.このことは, 網膜像的な絵画では表現することのできない, 人にとってのリアルさの追求がこのような抽象絵画において試みられたと捉えることができる.本論文では, このような近代以降の絵画の背景に視覚認知のプロセスの観点から着目し, 絵画の分析に基づく, 視覚認知プロセスのモデル化について提案する.また, そのモデルに基づき, 視覚認知モジュールをパラメータとしたモデル変換の手法の提案および絵画風画像生成システムを作成することを目的とする.この結果, 絵画の視覚的特徴分析による視覚認知プロセスのモデル化および視覚的な絵画表現技法の体系化, また3次元モデルからパラメータ変換により視覚的特徴をもつ絵画風画像を生成することができた.
抄録全体を表示