吸収線量0.3Mradのそば粉で
製麺
したそば切りについて,水分活性及び保存温度による麺の保存性を検討したところ,以下の結果が得られた。
1.吸収線量0.3Mradのそば粉で
製麺
したそば切りの菌数は,10
3個/gのレベルであった。また,この菌数レベルは,吸収線量0.5Mradのそば粉を用いたそば切りの菌数と比べても,大きな相違が認められなかった。さらに,25℃保存でのそば切りの菌数変化も,前報の吸収線量0.5Mradのそば粉による,そば切りの菌数変化と殆ど変わらなかった。
そば切りの初発菌数及び菌数変化からみて,吸収線量0.3Mradのそば粉使用麺は,吸収線量0.5Mradのそば粉使用による麺と比較しても,菌数的には遜色無いものと考えられる。
2.生そば切り(水分活性値ほぼ1.0)は,低温で保存することによって,シェルフライフの向上が認められた。なお,非照射そば粉で
製麺
した生そば切りの保存可能期間は,5℃保存では2日以内,また,0℃保存では7日以内と考える。
ガンマ線照射そば粉(吸収線量0.3Mrad)で
製麺
した生そば切りの保存期間は,5℃保存では7日以内,また0℃保存では30日程度と考えられる。
3.そば切りの保存において水分活性の影響が大きく,水分活性値0.8以下の場合には,90日間の麺の保存中の菌の増殖は極めて小さかった。また,水分活性の低下により,そば切りの保存期間の延長が認められ,水分活性1.0~0.9のそば切りの保存において,値が0.05低下することによって,おおよそ2~3倍ほどの期間延長が図れる。
4.水分活性と温度の管理によって,そば切りの保存性の向上を期待できる。
ちなみに,5℃保存の場合,照射そば粉を用いた麺で,水分活性値が0.95のそば切りでは14日以内,また,水分活性値が0.9のそば切りでは30日以内が,保存の1つの限界と考えられる。これらそば切りの保存期間は,非照射そば粉による麺に比べ,倍以上のシェルフライフを持っていた。
抄録全体を表示