目的 (1) 繊維集合体洗浄過程の解析に資するため, 同様な構造の
複合体
中の定常熱伝導について, 理論解析を行い, 有効熱伝導率を計算する.
(2) 上記の計算結果を既報の計算結果および実験結果と比較するとともに, 実験を行いその結果との比較も行った.
結果 (1) 繊維集合体内の温度分布を示す関数は次のような無限級数となる.
繊維間(∞Σk-0)An ((r/R) n+β (r/R) -n) cosnθ
繊維内(∞Σk-0)An (1+β) (r/R) ncosnθ
ここに,
r, 0;極座標表示での動径 (cm) および偏角 (rad)
R;繊維の半径 (cm)
β;繊維と媒体のそれぞれの熱伝導率から決まるパラメータ
n=2k+1
An;境界条件を満たすべき係数で, 境界に沿って最小自乗法を適用することにより決定できる
(2) 有効熱伝導率λe (cal/cm・℃・s) は, 繊維が直交格子状に配列している場合,
λe/λw=1/b(∞k-0) (-1) k (bn-βb-n) An
千鳥格子状配列のときは, 上式かまたは,
λe/λw=1/b(∞Σk-0)2An ((√a2+b2/2) n-β (√a2+b2/2) -n) sin nψ
で計算される.ここに,
λw;媒体の熱伝導率 (cal/cm・℃・s)
Ma, b, ψ;繊維の配列状態を示すパラメータ
(3) 繊維がたて, よこ等ピッチで, 最密充填の場合, 次の式が0.01≦ (λf/λw) ≦100の範囲で成立つ.
直交格子状配列の場合 (λe/λw) ≒ (λf/λw) 0.78
千鳥格子状配列の場合 (λe/λw) ≒ (λf/λw) 0.88
ここに, λfは繊維の熱伝導率 (cal/cm・℃・s)
繊維充填率が60%以下では配列による差はなく, 70%以上では著しい差がある.
(4) 上記計算結果を実測値と比較した結果, 良い一致をみた.
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