本研究の目的は, 臨地実習における倫理教育のあり方を検討する基礎資料とするため, 看護系大学の臨地実習における個人情報の取扱い状況を把握し, その倫理的問題点を明らかにすることである. 日本の看護系大学83校を対象に, 郵送法による質問紙調査を行った. その結果, 44校から回答があり (回収率53.0%), すべて有効回答であった. その結果, 実習記録に記入すると回答した大学が75%を超えた個人情報には, 氏名, 年齢, 性別, 家族構成, 入院年月日, 職業などの11項目があり, また, 氏名の記入には4割以上の大学で「伏せ字」が認められていた. 実習記録の保管について, すべて学生が所持すると回答した大学は, 実習期間中では95.5%, 実習終了後では63.6%であった. 受持患者に対し, 学生が個人情報を知ることについて説明している大学は34.1%であった. 以上から, 臨地実習の中で取扱う個人情報に伴う倫理的問題として, 不必要な情報の実習記録への記入, 患者に知らせないままの情報収集, 学生の自宅での保管などが把握された.
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