『源氏物語』は、その主人公の名前が異国高麗の相人によって命名され、その将来が予見されたことからも分かるように、異国との交流環境が色濃く反映された物語である。こうした特徴から、従来の漢詩文受容に関する研究に加えて、近年は『源氏物語』を東アジアの交流の角度から捉えようとする論考が出されている。しかし、その異国を示す言葉自体の定義は未だに明確に定まっていない。本稿では、従来その意味や用いられ方が明らかにされてこなかった「から」と「もろこし」を中心に、その意味内容を分析し、さらに物語の中においてどのように機能しているのかを考察する。
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