【はじめに】
当学院理学療法学科は、昼間部3年課程、夜間部4年課程の教育を行っている。専属教官は、一貫した
講義
内容になるように昼間部と夜間部に同一教官が同一科目を担当している。
しかし、対象となる学生は、昼間部が学業中心の生活を送ることに対し、夜間部は仕事と学業の両立を要求される。このような学生層の違いから学習効果や
講義
方法についての検討を行った報告は少ないのが現状である。
そこで今回、
講義
評価アンケートを施行し、昼間部と夜間部の学習効果の相違点について検討したので若干の知見を入れて報告する。
【対象と方法】
当学院昼間部2年生42名、夜間部3年生46名に対して、同一
講義の講義
評価アンケート用紙をメールで送付し、回答を得た。アンケート項目は、講師についての4項目「
講義
の全体的印象」「
講義
の進行状況について」「
講義
の内容について」「試験について」と学生自身についての3項目「
講義
の準備について」「
講義
中について」「試験に対して」を、(1)「大変良かった」、(2)「良かった」、(3)「普通」、(4)「あまり良くなかった」、(5)「悪かった」の5段階尺度選択とし、自由記載欄を設けた。得られた結果を昼夜間部で比較検討し、試験の成績、さらに講師への項目と学生自身に問いかける項目点数で比較した。昼夜間部の比較にはWilcoxson検定、試験との関係はspearmanの相関分析、質問項目間の比較にはMann-whitneyを用いて処理を行った。
【結 果】
講師に対する4項目合計の平均値は、昼間部2.7、夜間部では2.3、学生自身に問いかける3項目合計の平均値は、昼間部2.2、夜間部2.1と夜間部が低い値を示したが、いずれも統計学的な有意差は認められず、各項目間においても有意差は認められなかった。
試験結果と各アンケート項目点数との相関はほとんど認められなかった。
講師に対する試験の難易度と学生自身について問いかけた試験勉強の量では、昼夜間ともに、有意(p<0.01)に学生自身の回答が低い値を示した。
【考 察】
本
講義
に関して昼夜間の相違が見られなかったことに関しては、同一講師が
講義
を行っているという事、対象が異なる学生間においても初めての
講義
ということで理解度は同様であったものと思われた。
アンケート結果と試験成績との相関がなかった事は、酒井らの先行研究と同様で、
講義
の印象は最終的な学習到達度を予測するものではなく、学生個人のその時々の授業に対する理解度を表していると考えられた。
さらに、講師に対する試験の難易度と学生自身の試験に対する回答について点数に有意差が認められたことは、今回のアンケートがメール回収であったということにより無記名にならず、厳密には個人が特定されてしまうために卑下する傾向があったと思われた。
今後、アンケート内容の検討と複数
講義
での比較検討を行い、対象に合わせた
講義
の組み立てを考えていきたい。
抄録全体を表示