謝罪には誠実な謝罪と道具的謝罪
がある。誠実な
謝罪
には, 違反に対する責任の受容と被害者に対する罪悪感の認識が必要とされる。研究1では, 5, 6歳児を対象として,
謝罪
する際に責任を受容し罪悪感を認識するかを確認することによって, 誠実な
謝罪
の出現時期を明らかにした。その結果, 6歳児では, ほとんどの者が
謝罪
する際に責任を受容し罪悪感を認識すると回答したのに対し, 5歳児ではほとんどの者が責任は受容すると回答したものの, 罪悪感を認識すると回答した者は約半数に留まった。このことから, ほとんどの子において誠実な
謝罪
の必要条件が整うのは6歳児になってからであることが示された。続いて研究2では, 5歳児を対象として, 被害者の感情を推測させることが加害者における被害者に対する罪悪感を高めるかを明らかにすることによって, 他者感情推測が誠実な
謝罪
に与える影響を検討した。その結果, 5歳児であっても, 被害者の抱くネガティブな感情を推測することによって,
謝罪
する際違反に対する責任を受容するだけでなく被害者に対して罪悪感を認識すると回答した者が多くなった。つまり, 被害者の感情を推測することによって, 責任の受容と罪悪感の認識という誠実な
謝罪
に必要な2つの条件が満たされることから, 他者感情推測は誠実な
謝罪
を促す要因であることが示された。
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