近年になって急成長を遂げた日本の長距離高速バス路線網の展開過程を把握し, 路線選定の要因について検討した結果, 次のような点を明らかにした。
日本の長距離高速バス事業は, 高速道路網がほぼ全国を覆うまでに拡大したことによって, 長距離バス輸送の高速化および定時性が確保できるようになったことに加えて, 夜間時間を有効に利用したいとする旅客の潜在的ニーズに対応した夜間運行, 鉄道運賃に対する低運賃設定, および車両のグレードアップなど, バス会社の営業戦略が成功したことにより発展した。また, 一般路線の通勤・通学を中心とする利用客の減少による収益の悪化を補い, 顧客増が期待できるために, 大都市圏や各地のバス事業者が参入した。そのため, 大都市圏相互間, 大都市と広域中心都市間, 大都市圏・広域中心都市と県庁所在都市間の路線を開設することが優先されてきたと言える。
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