進化ゲーム
理論を(数理)社会学に応用する際の有効性と限界とについて方法論的な議論するのがこの論文の目的である。
進化ゲーム
理論の特徴は古典的なゲーム理論とは異なり、プレイヤーにたいして「合理的な主体」としての解釈ないし理解を行わない点にあり、
進化ゲーム
理論の応用を行うことの利点も限界もそこから生じている。一方で、
進化ゲーム
理論には既存の社会学・社会科学の静学性や演繹予測能力の低さなどの弱点を指摘し、それを補強するという建設的な役割も期待できる。しかしながらこのような方法を社会科学にそのまま導入するならば、以下のような限界が存在することが指摘できる。(1)
進化ゲーム
理論の応用は社会科学における実証性という点で問題がある。少なくともそれは実証の問題を、伝統的な社会科学のそれと異なるレベルに移行させる必要がある。(2)
進化ゲーム
理論が想定している状況は「制度」を説明するには不十分な道具立てにならざるをえない。それは制度にたいしてアドホックな説明にしかならないからである。(3)社会科学における「合理性」の位置づけから見る限り、社会科学的な問題構成を十分に体現していない。
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