過リン酸石灰
を比較的低温(200℃以下)で加熱したときの脱フッ素状況および水溶性リン酸(W-P
2O
5),可溶性リン酸(S-P
2O
5),ク溶性リン酸(C-P
2O
5)等の変化を,化学分析,X線回折,熱天秤による加熱重量変化測定等によって調べ,かつ
過リン酸石灰
の主成分であるリン酸-石灰-水和物の分解状況を熱天秤で測定し,考察を行なった。その結果,つぎのことがわかった。
(1)S-P
2O
5約16%の
過リン酸石灰
を150℃程度に加熱することによって,原料リン鉱石中に存在したフッ素量の約60%が容易に揮散した。その際リン酸可溶率(S-P
2O
5/T-P
2O
5)およびク溶率(C-P
2O
5/T-P
2O
5)は余り減少しないでそれぞれ85%および93%であったが,リン酸水溶率(W-P
2O
5/T-P
2O
5)の値は,加熱前の90%にくらべ65%に減少した。
(2)脱フッ素については,加熱生成物のX線回折試験の結果によれぼ,主に
過リン酸石灰
中に存在すると推定されるH
2SiF
6,HF等の分解および揮散によって生ずるHFが
過リン酸石灰
中に共存するSiO
2(石英質のもの)と反応してSiF
4として揮散することがわかった。
(3)
過リン酸石灰
の主成分であるリン酸-石灰-水和物は100℃前後から結晶水離脱反応を起し,約200℃位まではつぎの反応が進行する。
Ca(H
2PO
4)
2・H2O→Ca(H
2PO
4)
2+H
2O
この脱水速度を測定し,dα/dt=k(1-α)を算出した。
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